こんにちは、キャリアプロデューサーの櫻井です。

前回の記事では、志望企業や職種を「根拠なき消去法」によって消極的に選んでしまうためになかなか就職できない人が増えているとご紹介しました。自分に自信がないからこそ、より行動が必要な時があります。また、自分の勝手なイメージで可能性を狭めてしまうのはもったいないことです。

 実は、こういった「根拠なき消去法」もさることながら、なかなか就職活動が捗らない方には、もう一つ典型的な特徴があります。それが行き過ぎた「天職志向」です。

「天職」と聞くと皆さんはどんなイメージをもたれるでしょうか。「天職」という文字をスーパー大辞林で調べてみると、次の2つの意味が出てきます。

(1)その人の性質、能力にふさわしい職業
(2)神聖な職業、特に天子が国家を統治する職務

 ちなみに和英辞典で調べてみると「vocation」「calling」という単語が出てきます。海外でもやはり「天職」という思考はあるようです。

 そこで今回は、「天職」とは何かを考えるとともに、行き過ぎた「天職志向」で就職できない若者はどう行動すべきかについて一緒に考えていきたいと思います。

サークルの延長線上で企業探し?
選び過ぎて就活が捗らない若者たち

 まず、私たちが普段から使っている「天職」とは、具体的にどんな意味か考えてみましょう。

 例えば、仕事が何もかも上手くいき、周りからも称賛されるような職業でしょうか。あるいは、大きな成功はしなかったとしても何も苦労せず、上司からも怒られない仕事でしょうか?

ケース1)完璧な社会ライフを望んで「天職」を探すAさん

 大学を卒業後も就職活動を続けているAさんの話です。Aさんは就職活動をしていたものの、最終面接まで行くことはあっても最終的に不採用となってしまう男性でした。そんなAさんの天職のイメージとは、周りの頼れる先輩に囲まれ、和気あいあいとしている仕事です。

 しかし、面接で少しでも怖そうな面接官に当たったり、仕事の説明で厳しい事を言われたりすると、「ここは違う」と自分で決めてしまう方でした。一つでも「足りない」というものを見つける事によって、全てをナシにしてしまう癖がAさんを完璧主義的な思考たらしめていたのです。