最大料金に関しては、
周囲と合わせることが大事

 もうひとつ、コインパーキングの料金設定にまつわるマジックをご紹介しましょう。

 15分100円、30分200円、60分400円とあった場合、皆さんはどれがお得かすぐに分かりますか? どれも15分あたりに換算すると100円ですが、それぞれに15分ずつ停めたとすると、料金は100円、200円、400円と開きがでてきます。

 こうした上限価格を表示して、短時間しか停めない場合でも多くの料金を支払ってもらう、というやり方もありますし、最近では最大料金制を採用するところも増えています。「1日最大1000円」など、長時間利用の上限を設けた料金設定のことです。

 この設定の狙いは、集客のためのサービスと言えます。最大料金がアピールされていると、分刻みの細かい設定を見なくても、最大料金の安さに引き寄せられがちなのです。用事が長引くかもしれないと思うと、つい「どんなに遅くなっても1000円だし」と思ってしまうんですね。

 こんなふうに、料金設定のパターンはいろいろありますから、まずは近隣のコインパーキングなどをリサーチして、じっくり作戦を練ってみましょう。

 とりわけ最大料金に関しては、周辺と歩調を合わせることが大切です。私は以前、近隣の駐車場に負けまいと、そこより低い料金に設定してしまったことがあるのですが、すぐそのライバルにいっそう値段を下げられてしまい、仕方なく同じ料金に下げざるを得ませんでした。

 ライバル意識を燃やして、ヘタに値段を下げてしまうと、値下げ合戦になってしまうのです。お互いに共同体であるという意識をもっておくことが大切だと、身に染みて実感しました。最大料金は周りと合わせ、その代わりに細かい値段設定は自分なりの工夫をするべきだと思います。

コインパーキング運営は、
心理戦がものをいう!

 ちなみに、「近隣にライバルの駐車場ができたら、売上が減るのでは?」という質問を受けることがよくあるのですが、意外にもそんなことはありません。

 人の心理は不思議なもので、コインパーキングが多い場所だと、「それなら安心して車で行ける」という気持ちになるのですね。少ないと、「もし満車だったら停められないな」と、車の利用を控えがちになるのでしょうが、複数あれば「これだけあるからどこかに停められるはず」と、車を利用する人が増えるのです。

 こうしたライバルとの相乗効果といい、先ほどの料金設定のしかたといい、コインパーキングは、本当に心理戦の要素が大きいのです。もうひとつ例をあげましょう。
 コインパーキングは、看板しか告知するものがないので、いざオープンしても認知されるまでに時間がかかるのですが、「初めてのところではなく、いつものところに停めたくなる」という人間の心理が働くようなのです。

 レストランに例えると、新しくオープンしたお店も美味しそうだけど、つい馴染みの店に入ってしまうという感覚と同じです。
 ですから、最初の1ヵ月間は「オープニングセール」として、特別価格をアピールするのも一案です。その場合は、値下げ合戦を避けるために、「期間限定です」ということを明示しておきましょう。

 住宅街でのオープンなら、新規オープンのチラシを、近隣の住宅やマンションにポスティングするという手もあります。
 いずれにしても、一度利用してもらえば安心感が生まれて、リピーターになってもらえる確率はかなり高くなりますので、工夫してみてくださいね。