年末年始の問い合わせ件数33.5万件
アクリフーズ異物混入事件

 2013年12月に発覚した、マルハニチロの子会社であったアクリフーズ(現在はマルハニチロに統合)群馬工場で冷凍食品に農薬マラチオンが混入され、元契約社員が逮捕・起訴された事件は記憶に新しく、世間に「フードテロ」という新たなリスクを再認識させた。フードテロとは一般的に、食品に対する悪意の異物混入を指すものだが、この事例では、内部犯行に因るものであっただけに、食品事業者経営陣には脅威に感じる者も多かっただろう。

 危機管理の専門家からの視点では、予想しがたい原因とはいいながら、原因究明や健康危害への解釈の間違い、回収・公表までの決定の遅れがひびいて、マルハニチロへの風評は高まり、危機に陥った。

 何よりも目を引いたのは、発表翌日の12月30日から1月2日までの4日間でグループ全体に問い合わせのあった件数が約33万5000件に上っていたことである。30日が11万件、31日が10万件、1月1日が10万件、1月2日が2万5000件で、オペレーターにつながらなかった件数も多数含まれている。さらに地方の営業所に直接問い合わせた件数は含まれておらず、実際の問い合せ件数はさらに多くなるとの広報IR部の発表が確認された。

 正月のこの時期にこれだけの件数の問い合せを受けたということは、これまでに類を見ないもので、社会的事件性、風評の拡大を想定させ、危機管理対策上は対応の失敗を意味している。

 その後、発生した重複分を含めた延べ件数2億300万件(人数にして4億600万人以上)を巻き込んだベネッセ個人情報漏洩事件についても、問い合せ件数は発表されていないが、100回線以上のお客様相談室体制を設置している。

 消費者からの視点では、いずれの事件も「内部犯行」というキーワードが関心を呼ぶ。なぜこんなに発見が遅れたのか、プロセスの過程で「隠蔽」しようとしたのではないか? そして、結果として犯行を見過ごした状況により、どこまで最悪の状況を招くのか? 全てが検証されたのか? まだ、隠していることはないか? と憶測は止まらない。

 マルハニチロ事件では、従業員300人以上に詳細なヒアリングが実施され、監視カメラも5台から172台に増設された。従業員は疲弊し、性善説は否定された。