予備校大手の代々木ゼミナールが全国二〇箇所の校舎を閉鎖すると発表したのは今夏のことだ。

 代ゼミは二〇校で来期以降の生徒募集をやめ、それで事実上の閉鎖になるのだが、全国に二七校あった予備校は、今後、主要都市のみでわずか七校に縮小されることになる。

 予備校を運営する学校法人高宮学園も、ずいぶんと思い切ったことをするものだが、経営の悪化はいまに始まったことではなく、業界ではさして驚きもなかったようだ。

 代々木ゼミナールは、駿台予備校、河合塾と並び、三大予備校と呼ばれていたが、代ゼミは生徒の激減が目立ち、ライバル校の幹部は、実質“二強”だったと述懐している。

 難関大学志望者をターゲットにした駿台・河合に対し、代ゼミは、中堅私立大学志望者の大量獲得で生徒数を増やしてきたとのことだ。大学進学率の上昇に伴う学費収入で急成長を遂げ、ピーク時には八万人もの学生が代ゼミに学んだ。九〇年代には四〇〇人収容の大教室に立ち見が出るほどだったという。

 が、中堅かどうかはさておき、入試回数やAO入試さらには推薦枠を増やすなどをして学生の取り込みを図る私立大学が増加したため、受験生にとって大学受験は決して“狭き門”ではなくなった。

 また、とりわけ地方では、浪人してでも中堅私立大学に行きたいという生徒が減っているのだという。景気が悪いから浪人してまで学費の高い私立になんか行かなくても、と思う親もいるのだろう。選り好みしなければどこにでも入れる大学全入時代でもあるし。

 さらに言えば、大学受験のトレンドは、やっぱり不景気の影響で『就職に優位な理系』『学費の安い国公立大』なのだそうだ。理高文低の時代らしい。これだけデジタル化が進んだ時代に高校生だったら、私も理系に進んでいるかもしれない。

「人気講師目当ての学生で数百人が入る大教室に立ち見が出たのも今はむかし。校舎によっては本当に閑散としている。今回の決定は、受講生の大半を占めた浪人生の激減が全て。代ゼミでは暗い浪人生活を送らせまいと照明を明るくしていたが、人が集まらなければ電気代のムダでしかありません」(代ゼミ職員)