ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
岸博幸のクリエイティブ国富論

政治的には合理的、経済的には非合理的
解散・総選挙が内包する2つのリスク

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第281回】 2014年11月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 世間を賑わせている衆院総選挙ですが、永田町と霞ヶ関から入ってくる情報でも、報道どおり12月に行なわれる可能性が極めて高いようです。しかし、それには2つの大きなリスクが内包されているのではないでしょうか。

いま総選挙を行う大義名分は?

 もちろん、政治的には12月に解散・総選挙を行なうのは非常に正しいと言えます。二閣僚の辞任があったとはいえ、まだ政権支持率は50%弱と高い水準を維持している一方で、来年は不人気政策(集団的自衛権、原発再稼働)を実施せざるを得ず、北朝鮮拉致被害者問題もどう推移するか見通しにくいことを考えると、このタイミングで解散・総選挙というのは政治的には賢明と言えます。

 問題は、衆議院議員の任期半ばで解散・総選挙を行なう以上、それ相応の“大義名分”が必要になるということです。そして、もし報道されているように消費税再増税の延期を国民に問うことが大義名分だとしたら、それはおかしいと言わざるを得ません。

 新税の導入ならともかく、既存の税について増税をどうするかは経済運営の裁量の範囲内で決めるべきことです。実際、消費税を5%から2段階で10%まで増税することも、国民に問うことなく3党合意によって決まっています。それなのに、今回の8%から10%への増税の延期についてだけは国民に問うというのは、理屈として成り立ちません。

 かつ、世論調査では消費税再増税への反対が多いのは事実ですが、仮に国民に不人気な政策だから信を問うとしたら、集団的自衛権や原発再稼働などの他の不人気政策については問わずに消費税再増税だけを問うというのも、理屈としてはおかしいでしょう。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


岸博幸のクリエイティブ国富論

メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

「岸博幸のクリエイティブ国富論」

⇒バックナンバー一覧