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アマデウスたち

岩隈久志
取り戻した絆とエースの栄光

週刊ダイヤモンド編集部
【第79回】 2009年5月21日
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岩隈久志
写真 塚田比呂子

 無類の野球好きで知られるフランス文学者の蓮實重彦が、至上の美しさと讃えるその投球フォーム。190センチメートルの長身は流れるように大きくしなり、まるで舞っているように優雅だ。乱れやムダは微塵もない。女性のそれと見間違うような細く長い指が、高速のまま足元に沈むフォークボールを自在に操る。

 2008年のシーズンでは、21勝を上げ最多勝利を獲得、防御率は1.87とライバルのダルビッシュ有を凌いだ。沢村賞の栄冠にも輝く。「これまでの野球人生で最良のとき」を迎えた。

 近鉄をのみ込んだオリックス行きを拒絶し、05年、鳴り物入りで楽天に移籍した。だが故障に泣き、幾度も戦線を離脱する。いつしか「ガラスのエース」と呼ばれるようになった。「やり切れない気持ちをそのまま家庭に持ち込んだ」。07年はわずか5勝。そして10月、右肘の手術を決断する。

 来シーズンを約束できないエースに、チームリーダーの山崎武司が納会の席で声をかけた。「来年はお前、だからな」。

 08年、開幕マウンドに復活した。グラブには「絆」と刻んだ。「これまでは自分のためだけにやってきた。今年は、自分を待っていてくれたチームメイト、ファン、そして家族のために投げる」という誓いの一文字だ。

 今年の好成績は「感謝の心の結果。野球観が変わったような気がする」。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 遠藤典子)

岩隈久志(Hisashi Iwakuma)●プロ野球選手 1981年生まれ。99年大阪近鉄バファローズより5順目指名を受けて入団。2001年初登板初勝利。02年より先発ローテーション入り、04年最多勝利、最優秀投手。05年東北楽天ゴールデンイーグルス移籍、08多勝利、最優秀防御率、最優秀投手の三冠、沢村賞を獲得。

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