星野リゾートのトレードオフ

川上:第2ステップの「トレードオフを伴う」。この考え方は、一方に決めたらその道を突き進めということですよね。

星野:そうですね。どちらかを選択したらどちらかは犠牲になります。ただし、このトレードオフという概念は10年やってても難しいと思うんですね。だから全体研修では、社員がイメージしやすいように「これはトレードオフを伴いますか?」と題してこんなスライドで説明しているんです。

顧客満足と利益を両立させるため、<br />従業員が正しく判断できる仕組みをつくる全体研修の際に、トレードオフの概念を説明するために作製したスライド。

(1)Y字路に立っています。さあ、右に行くか。左に行くか。
(2)お昼の時間です。牛丼を食べますか。カレーを食べますか。
(3)赤ワインと白ワインがあります。どちらを飲みますか。

(1)は右に行ったら左には行けませんからトレードオフを伴います。

(2)は、普通の胃袋の人は牛丼かカレーのどちらかしか食べれないからトレードオフを伴います。

(3)は、どちらも飲めますからトレードオフを伴いません。

 身近な例を挙げたあとで、「ならば、星野リゾートのトレードオフを伴うことって何だろう?」って話に入っていくんです。