日本のスポーツ業界は
お客様を楽しませようという発想が乏しい

社員のベクトルを合わせてお客様に感動を与える、<br />それがゼビオ流ビジネスモデル川上昌直(かわかみ・まさなお)     兵庫県立大学経営学部教授 博士(経営学) 1974 年大阪府出身。 01 年神戸商科大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。 同年、福島大学経済学部助教授(呼称変更により准教授)に就任。 08 年兵庫県立大学経営学部准教授を経て、12 年より現職。 初の単独著書『ビジネスモデルのグランドデザイン 顧客価値と利益の共創』(中央経済社)は、13 年に日本公認会計士協会・第41回学術賞(MCS賞)に。 著書に『儲ける仕組みをつくるフレームワークの教科書』『課金ポイントを変える 利益モデルの方程式』(以上、かんき出版) 『まず、のび太を探そう!』(翔泳社)など。 http://wtp-profit.com

川上:僕が考えるビジネスモデルの定義は「顧客に満足を、企業に利益をもたらす仕組み」ですが、それをゼビオに当てはめるとどうなりますか?

諸橋:そうですね…。「組織がベクトルを合わせてスポーツを産業化し、お客様に感動を与えていく仕組み」という感じになると思います。

川上:グループが同じ方向を向いて、初めてお客様を満足させられるということですか?

諸橋:そうですね。もう少し言えば、小売業を軸にその周辺事業も手がけていけば、スポーツが育ち、その定義を変えることができるかなと期待しているんです。
 例えば、日本ではアリーナ(競技場)1つ、スポーツチームの運営1つとってみても、観客を楽しませようというエンタメ性が低いと思います。日本のスポーツでは、選手と観客が一体となって楽しむ、共感するということが少ないのではないでしょうか。要は今のスポーツは、あらゆる側面で、まだまだお客様目線が乏しいのです。いまだに観客の飲食を禁ずるアリーナがたくさんあることが、それを物語っていますよね。