小山 私は、仮設トイレがあれほどキレイな現場をほかには知りません。仮設トイレは汚れやすいし臭う。だから外に設置するのが普通です。後藤組のように事務所の中に置けるのも、靴を脱いで使えるのも、それだけトイレがキレイな証拠です。

後藤 でもはじめは、自己流で環境整備に取り組んでいました。たとえば、「パソコンのハードディスクの蓋を開けて、エアーダストクリーナーを吹きかけ、ほこりが出なかったら○、出たら×」みたいなことをしていたわけです。でも、「本当にこんなやり方をしていていいのか? 間違っているんじゃないか。正しいやり方を覚えれば、もっと会社がよくなるのではないか」と思い始めて、本家本元に習うことにしたんです。

小山 自己流では、なかなか成果が出にくい。私は常々「マネこそ最高の創造」と言っています。教えられたとおりにやる社長のほうが、自分で工夫をする社長よりも確実に結果を出すことができます。学校では「カンニングは、やってはいけないこと」だと教えられますが、社会に出れば、そうではありません。「自分のやり方にこだわって結果が出せない社長」よりも、「人のやり方を盗んで結果を出す社長」のほうが優秀ですよね。

 ……独自のやり方にこだわると、会社が変わりにくいわけですね?

小山 業績が悪い会社ほど、例外なく独自のやり方にこだわっていますね。これはもう間違いありません。

後藤私が社長に就任したのは、24歳のときです。当時、私はアメリカに留学していたのですが、創業者の祖父から呼び戻され、事業を受け継ぐことになりました。経営のことなどさっぱりわからなかったので、とにかくたくさんの本を読んだのですが、その結果として、「成功者には共通点がある」ことに気がついたんです。