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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

「防衛本能の原点」に立ち返れ!
サイバーセキュリティの基本は「身を守るおしえ」にあり

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第6回】 2014年12月1日
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 こうしたことが日常茶飯事で起きているのに、日本の政府・企業の危機意識は極端に低く、セキュリティ体制は国際的に見ても不安が大きいと私は思いますが、その原因の1つには、日本人の特性が影響していると考えます。

 日本ではどんな分野であれ、「完璧」を目指すことが美徳とされています。たとえば、電化製品でも完璧と思われるレベルまで改良を重ねに重ね、ようやく発売に至ります。

 しかし、サイバーセキュリティに関してはそれでは遅いのです。「あれこれ考える前にまずは実行に移す」ことが非常に重要です。ITの技術は日々、凄まじいスピードで進化しているので、完璧を求めていたら手遅れになる。また、完璧を求めるあまり、不測の事態が起きたら対応できないという脆弱性も日本は自覚すべきです。

 しつこいようですが、セキュリティ対策に完璧はありません。そうした前提に立って策を講じることが重要です。

 サイバーセキュリティの世界には、ベストプラクティス(最も効率の良い技法)やチェックリスト、コンプライアンスといった言葉は存在しないと思ったほうがいいでしょう。常に完璧主義を貫こうとする日本人はマニュアルやチェックリストが大好きですが、「こうしておけば安心」という油断こそ、重大な危険をはらんでいるのです。

拾ったアメは舐めないのだから
もらったUSBも安易に使うな!

 翻って、個人レベルではどうやってサイバー攻撃やハッキングから身を守ればいいのでしょうか。

 私は、そのためには「人間の防衛本能に忠実になれ!」と言いたい。

 誰だって、日頃から病気やケガをしないように気をつけています。でも、転ぶときは転ぶし、カゼをひくときはひくのです。そして、それを悪化させたり死んだりはしたくないから薬を飲んだり病院に行ったりします。サイバーセキュリティも似たようなものだと思うのです。

 たとえば、病気にかからないためには、家に帰ったら手を洗ったりうがいをする。当たり前ですが、拾ったものを食べたりもしません。

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齋藤ウィリアム浩幸
[内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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