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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

「防衛本能の原点」に立ち返れ!
サイバーセキュリティの基本は「身を守るおしえ」にあり

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第6回】 2014年12月1日
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 同じように、サイバー攻撃にやられないためには、展示会などで配られているUSBメモリや、飲み屋に置いてあるような充電器は安易に使わないようにしたほうがいい。

 というのは、ハッキングに遭うリスクが大きいからです。これらを使うのは、拾ったアメ玉を口に入れてしまうようなもの。こうした自分を守るために本来備わっている人間としてのカン、すなわち基本的な警戒心がサイバーセキュリティには必要であると私は感じています。

 「油断」と「慢心」にはくれぐれもご注意を。個人であればそれほど大きな問題にならないかもしれませんが、これが企業や組織の活動に悪影響を及ぼすことにでもなれば、「うっかりしていた…」では済まされないのです。

サイバーセキュリティは
「ITそのもの」だと認識すべき

 ところで、日本の新幹線が時速300キロ超という世界最高レベルのスピードを出せるのは、なぜでしょうか。

 それは、この速度でも安全に走ることができる「ブレーキ」の技術があるからこそです。これをインターネットに当てはめると、ブレーキに該当するのが「セキュリティ」です。セキュリティがあるからこそ、インターネットを安心して使うことができ、利便性を拡大させることができるわけです。

 つまり、サイバーセキュリティはITの付属的なものではなく、“ITそのもの”ということです。セキュリティを強化すれば、ITの安全性・利便性は高まり、ひいては企業の競争力アップにもつながります。

 インターネットが電気や水道のように生活インフラの一部となった今、冒頭に述べたような状況を放っておいたら間違いなく日本は世界の中で取り残され、日本の産業や企業はグローバル競争を勝ち抜くことはできません。政府や企業の取り組みに対する提言は前段で申し上げた通りですが、あなた自身も、まずはサイバーセキュリティへの意識を持つことから始めてください。

(構成/河合起季)

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齋藤ウィリアム浩幸
[内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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