「この厳しさは変わらないのではないだろうか――」(エーエム・ピーエム・ジャパン〈am/pm〉加盟店オーナー)。

  コンビニエンスストア業界2位のローソンが、同7位のam/pmの買収を決めた。新浪剛史・ローソン社長は、今回の買収はフランチャイジーであるam/pm加盟店オーナーにもメリットがあると強調したが、現時点ではオーナーの期待感は決して高くない。

 ローソンは、弱点だった東京都心部での店舗展開について拡大が見込める。東京23区内は国内で最も肥沃なマーケットだが、すでに出店が多く飽和状態で、新規出店の余地は限られている。

  それが、23区内に全店舗の約半数に当たる529店舗を展開しているam/pmの買収で、23区内の店舗は一気に合計1459店となる。セブン-イレブン・ジャパンの1119店を抜きシェア1位に躍り出る。しかも、これだけの店舗を自前で出店すれば3倍のコストがかかり、6~7年の店舗開発期間が必要という。

 今回の買収で規模と集中の効果が得られ、効率化が一気に進み、その一部は加盟店オーナーにも還元できると見ている。am/pmにとっても、業界大手のローソンの傘下になることで、今後さらに競争が厳しくなる業界で生き残りへ道が開ける。

 しかし、両社首脳陣の目論見は、店舗の最前線で店を守る加盟店オーナーのやる気と努力があってこそ実現できる。少しでもオーナーが将来に不安を持ったり、自分の店舗の収益改善が見込めないと思えば、両社首脳陣の描いた絵はたちまち現実味を失ってしまう。

 新浪社長は「2009年度中には粗利益率の改善などの効果を出せる」と語る。長年、中小チェーンのオーナーとして厳しい競争にさらされてきたam/pm加盟店オーナーに対して、早期に目に見えるかたちでメリットを示し、買収効果と将来性を納得してもらうことが、今回の買収を成功に導く最大のポイントだろう。

(『週刊ダイヤモンド』編集部  片田江康男)