【第10回】<br />『カンブリア宮殿』にも出演! 90分で引越し完了!<br />倒産寸前から「渋谷区シェア率39%」へ<br />会社をどう変えたか?山崎 登(やまざき・のぼる) 1968年生まれ。山崎文栄堂代表取締役社長。オフィス用通販のアスクルの東京西エリアのトップ販売店として「アスクル・エージェントアワード」受賞。『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)でも「ジリ貧の文具店がアスクルと組んだら売上37倍」と取り上げられたことも。「環境整備(=朝一番の掃除)」により、激戦地の東京・渋谷区にエリアを絞り、4年でシェア9%を39%に、7年で年商25億円を48億円に。同時に引越しを90分で終わらせる社風をつくりあげた。 【山崎文栄堂HP】 http://www.bun-eidou.co.jp/

 ……「環境整備定着プログラム」を導入後に、「2トントラック7台分」の整理をしたそうですね。そんなに簡単に捨てられるものですか? 「もったいない」と思う社員もいたのでは?

山崎 おっしゃるとおり、社員は当初、なかなか捨てたがらなかったんです。

引越しは90分で終わる!

 ……「捨てたがらない社員」にものを捨てさせるために、山崎社長は何をしたのですか?

山崎 「物を捨ててはいけない。物を捨てると社長から怒られる」と思い込んでいる社員もいたんです。だったら、物を捨てる前に「思い込み」を先に捨てなければなりませんよね。なので、私が率先して「捨てろ、捨てろ」と言うことにしたんです。そうすれば社員は「捨てても怒られないんだ」と安心して、どんどん捨て始めます。いまでは、捨てる文化が根づいたと思います。社内には余計なものがないので、引越しは90分で終わりますね(笑)。

小山 アスクルは収納用品も取り扱っていますが、これまで山崎文栄堂は、商品の販売が中心でした。でも現在では、お客様のオフィスに出向いて、書類の整理の仕方などをアドバイスする機会が多くなっています。時代やお客様の変化に合わせて「やること」と「やらないこと」を変えるのも「環境整備」の一つですね。「環境整備」によって、社員の仕事のやり方にも変化が起きています。

 ……「環境整備」導入前と導入後では、お客様からの要望はどのように変わりましたか?

山崎 「環境整備」を始めるまでは、お客様から「送料を無料にしてほしい」「値引きをしてほしい」という要望が多かったんです。でもいまは、「書類の整理の仕方を提案してほしい」「困っていることがあるので、教えてほしい」と求められることも多いですね。当社は、「ファイリング・デザイナー」(文書情報管理の資格)の取得率が87%で業界第1位です。社員みずから、整理整頓を徹底しているからこそ、「こういうふうに整理、整頓をしてみたらどうか」という提案ができるんです。