創続総合研究所

良かれと思った下手な遺言が
紛争のタネになる

相続人同士が争うのを避けるため、遺言書の作成を検討している人も多いだろう。しかし、遺言書がむしろ相続人同士の争いを引き起こしていることも少なくない。ダイヤモンドQ編集部では、遺言書やエンディングノートによって起こりがちなトラブル事例と、トラブルを未然に防ぐ方法を解説する。

 東京都のAさんの母親は、1人で都心の自宅に住んでいた。高齢になって体も不自由な母親の面倒を見るため、Aさんは3年ほど前、母親の自宅敷地の一部に家を建て、家族で暮らし始めた。

 Aさんも知らなかったのだが、母親はその後、自分が亡くなった後のことを心配し、知人の勧めもあって公証役場で遺言書を作成していた。

 内容は「長男に5分の4、他家に嫁いだ長女(妹)に5分の1の割合で資産を分け与える」というものだった。

 いざ、母親が亡くなり遺言のことが分かると、遺産分割をどうするかで兄妹げんかが始まった。なぜなら、遺言書では分割の割合は指示されているが、どの資産をどのように分けるかまでは書いてなかったからだ。

自宅の立っている不動産
相続での分割は困難

 Aさんの母親の資産は、多少の預貯金のほかはほとんどが自宅の敷地だ。最近の地価上昇で評価額は急上昇。妹からは預貯金も自宅敷地も、5分の4と5分の1で分けてほしいと言われている。しかし、自宅敷地は旗ざお状で前面道路への通路部分が狭く、分割するのは無理。全部売却するにはAさんが自宅を取り壊さないといけないが、まだ建てたばかりでローンが30年以上残っている。Aさんが妹に相続分に見合う代償金を支払う方法もあるが、住宅ローンのほか子供の教育費も掛かってとてもそんな余裕はない。

 「せめて自宅の敷地は長男に、その他の財産は全て妹にと遺言しておいてくれたらこんなにもめなかったのに」とAさんは頭を抱えている。 

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