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China Report 中国は今

再び異常過熱する上海不動産市場に、バブル崩壊はあるのか

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第32回】 2009年8月6日
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 「我急死了!(焦っているわよ)」

 とある上海のネイルサロン。ふだんはまったりしたこの空間も、今はジリジリと値を吊り上げる不動産話で持ちきり。客も従業員も向かい合えばみな不動産の話だ。

 「焦っているわよ」と悲鳴を上げるのは従業員。彼女も上海で働く出稼ぎ労働者、上海でマンションを買うために毎日10時間、休むまもなくせっせと働いている。彼女は市況悪化で値下がりする上海郊外の中古マンション市場を買いどきと踏んでいた。が、春頃から値上がりへと一変。「今こそ、買い!」と思ったときには再び手の届かないものになっていた。

 その激しい変化は未曾有のものだ。「異常な値上がり」、「猛烈な投機」、……、各メディアを騒がす強烈な形容は、上海の不動産市場でいまだかつて見たことがない。

高級マンションが
1週間で10%近く値上がり

 上海の中古マンション市場は09年2月半ばから右肩上がりを始めた。上海の中古マンション相場を週単位で紹介する「房価網」は、その平米単価の推移を、「2月末に1万4300元台、3月末には1万4500元台、4月末には1万4800元台と、若干の折れ線を描きながらも、6月末から7月第1週で1万6000元台を突破した」と伝えている。他方、7月前半の中古マンションの成約戸数は6月前半に比べ2割も下落。価格は上昇、しかし販売は増えていない、という奇妙な現象が起こっている。

 一方、上海の新築マンション市場が好転し始めたのは今年3月にさかのぼる。新築マンションの月間成約戸数(平米単価2万5000元以上の高級物件)は、昨年6月の850戸超をピークに、翌7月は200戸超に下落、09年2月までの8ヵ月間は月間平均170戸程度にとどまっていた。不動産サービス大手のサビルス・リサーチの数字からは、3月になると急変し、539戸にまで盛り返したことが読み取れる。

 内環状線の中に立地する高級マンション「上海仁恒濱城」は、富裕層注目のマンションの1つ、いつも話題に事欠かない。今年、新たに分譲した第3期はあっという間に客がつき、8月4日現在、1438戸が売れ、残り175戸にまでなった。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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