発想を広げれば、味噌には味噌汁以外の用途がたくさんある

 最初私は、味噌をフリーズドライにしても塩辛いばかりで使えるのかなと疑問を持っていたんです。でも試作し、官能評価を繰り返すうちに、サラダやカルパッチョのようなオイルを使った料理と合わせると塩辛さを感じず、良い風味になるとわかりました。ノブさんは最初からわかっていたのですね。

 こうしてドライミソを採用していただいたことで、常駐する営業マンもマツヒサに通わせていただき、念願の味噌汁にひかり味噌を使っていただくこともかないました。

――ドライミソ採用後、開発した製品はありますか?

トムヤムスープに味噌!<br />海外のシェフたちが味噌の可能性を広げてくれる林 善博(はやし・よしひろ)
ひかり味噌株式会社 代表取締役社長 
1960年長野県生まれ。1982年慶應義塾大学法学部卒業後、信州精器株式会社(現セイコーエプソン株式会社)入社。94年に同社を退職、ひかり味噌株式会社に入社。常務取締役特販営業部長、専務取締役経営管理本部長を経て、2000年4月に代表取締役社長に就任。
1997年に味噌業界で初となる海外有機認証を取得、2012年にはハラール認証を取得するなど、伝統を継承しながらも新しい事業への挑戦を積極的に続けている。
www.hikarimiso.co.jp

 ドライミソの後、味噌風味塩、しょうゆ風味塩をつくりました。これは、「香りのある塩がほしい」というノブさんのリクエストです。ヨーロッパへ行くと時々レモンの香りがついた塩が出てきたりするのですが、ノブさんは「和の香り」である味噌と醤油の香りをつけた塩を希望されたんです。ちなみに、現在、新製品を開発中です。

 また、私がアメリカに行ったときにチーズケーキ・ファクトリーというレストランチェーンで、サーモンに甘い味噌だれのかかったのが人気メニューになっているのを見まして、ノブさんにお話ししたところ、NOBUでもサーモンと味噌を組合せたレシピが誕生するということです。アメリカ人は脂っぽい魚が好きなんですね。その脂に味噌が合うのです。

 日頃から味噌ばかりに関わっていると、どうしても頭が凝り固まってしまいます。特に日本だけ見ていると、味噌と言えば圧倒的に味噌汁というイメージなんです。たまに辛子味噌なんかを使いますけれど……。マツヒサやNOBUのレストランに行って、ノブさんとお話しさせていただくと「こんな考え方もあるんだ」と刺激され、いろいろなアイデアが湧いてきます。