7月5日、米国ニューヨークの連邦破産法裁判所は、先に“連邦破産法11条”を申請していたGMの優良資産などを、政府らが出資する新生GMに譲渡することを正式に承認した。

 これによって、連邦破産法11条の申請から1ヵ月を経ずして、GMの事業再生に向けた本格的なプロセスが進行し始めることになる。

 実際には、手続きを開始する前に4日間の猶予期間が設けられており、その間に一部の債権者は手続きに反対することが可能となる。

 ただし、オバマ政権が、「7月10日までに旧GM資産の譲渡が認められなければ、支援を打ち切る」とのスタンスを明確にしていることもあり、反対する債権者の数は少数に限られると見られる。

 再生のプロセスでは、まず旧GMを解体して優良ブランドなどを新生GMに移す。新生GMについては、米国財務省が60.8%、UAW退職者向け医療保険基金が17.5%、カナダ政府・オンタリオ州政府が11.7%、旧GMが10%の株式を保有することになる。

 一方、旧GMは「自動車清算会社」と名前が改められ、不良資産の売却や清算を担当することになる。こうした措置によって、早ければ7月中旬にも、政府支援の「新生GM」が走り出すことになる。

 新生GMの経営陣は、「経営の建て直しによって、2010年にも株式の再上場を目指す」としている。

 ただし、思いの他スムーズに進んでいるGM再建には、実は大きな不安が残っている。GMの今後の事業展開については、一部の専門家から「経営再建が思ったように進まない可能性もある」との指摘も出ているのだ。

 そうした懸念の背景にあるのは、世界的な景気後退という厳しい経営環境の下で、「今後GMが売れる自動車を作り出すノウハウを持っているのか」という不安に他ならない。

 もし、GMの再建が上手く行かない場合には、多額の出資を行なった政府にも大きな痛手が及ぶ。過度な楽観視は禁物だ。