エアバッグなどの自動車用安全装置メーカー、タカタのリコール問題が急展開を迎えている。11月、米当局がリコール対象を全米へ拡大するよう要請。12月3日の米公聴会ではこの地域拡大が焦点となった。さらにここにきて、トヨタ自動車が“救いの手”を差し伸べた。今後のタカタ問題のシナリオを探った。

「質問に対する答えになっていない」「あなたは質問から逃げている」

 米現地時間の12月3日午前。エアバッグなどの自動車用安全装置メーカー、タカタのリコール問題をめぐり、上院に続き2回目となる下院公聴会が開催された。招集されたのは、タカタの清水博・品質保証本部シニアバイスプレジデントの他、ホンダ、独BMW、トヨタ自動車の3人。議員からの追及が相次ぎ、さながらタカタの公開処刑と化す場面も見られた。

終わらないリコール問題 <br />タカタの命運握る二つの鍵12月3日、米下院で実施された公聴会。左から、質問に答えたタカタの清水氏、ホンダ、独BMW、トヨタ自動車の北米部門担当者
Photo:REUTERS/アフロ

 米国では今、自動車の安全性がそれほど社会問題化している。きっかけは、米自動車最大手のゼネラルモーターズが今年実施した大規模リコールだった。今年2月、エンジン点火装置の欠陥を10年以上も放置していたことが発覚。経営トップが公聴会で追及された。

 その矢先の6月、今度はタカタ製エアバッグで大規模リコールが昨年に続いて発生した。本来、人を守るはずのエアバッグが、むしろ暴発して凶器になり得るという最悪の欠陥だけに、追及の矛先が一気にタカタに向けられた。

 さらにここ約1カ月で、事態は急展開している。衝撃的だったのは11月18日、米運輸省・道路交通安全局(NHTSA)が、リコール対象を全米規模に拡大するよう「要請(demand)」したことだ。