株式レポート
12月5日 17時0分
マネックス証券

雇用統計直前レポート〜あるか今年も日米年末株高アノマリー〜 - マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部「米経済の「今」を読む -経済指標動向-」

ADP雇用統計(前月差) 11月 +20.8万人 市場予想 +22.2万人 前月 +23.3万人(上方修正)
(予想)非農業部門雇用者数 11月 市場予想 +23.0万人 マネックス証券 +21万人 
ISM製造業景況感指数 11月 58.7 市場予想 58.0 前月 59.0
ISM非製造業景況感指数 11月 59.3 市場予想 57.5 前月 57.1
新車販売台数(年率換算・季節調整済) 11月 1720万台 前月 1646万台


■力強い雇用の回復トレンドは変わっていない
米雇用関連会社のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が4日に発表したADP雇用統計で「民間非農業部門雇用者数」は前月から20.8万人の増加と、市場予想を下回ったものの、労働市場の堅調な回復の目安とされる20万人増は上回った。前月分は23万人増→23.3万人増に上方修正された(グラフ参照)。


ADP雇用統計は3ヵ月連続で雇用者数の増加は20万人を超えており、市場予想はやや下回ったものの大きな問題のある範囲ではない。その他の労働市場の先行指標である新規失業保険申請件数も減少傾向を続けていることから、米国の労働市場の改善は続いていると考えて良いだろう。

5日の22時半に発表される雇用統計の非農業部門雇用者数についても堅調な数値が発表されると見込まれ、マネックス証券ではADP雇用統計と整合的な21万人増を予想している。

■依然好調を保つ米国経済
月初に発表された米国の経済指標は総じて堅調である。まず、1日に発表された11月のISM製造業景況感指数は58.7と前月よりわずかに悪化したものの、市場予想の58.0を上回った。ISM景況感指数は50を上回っていれば景況感の改善を意味しており、60に近い高水準の状況が続いている。指数の内訳を見ても新規受注がさらに改善、生産も高水準を維持しており、製造業の好調さが伝わってくる内容である(グラフ参照)。


■非製造業指数や新車販売も非常に好調
3日に発表された11月のISM非製造業指数も好調と言って良い内容だった。指数のヘッドラインは59.3と前月の59.0から改善し、悪化を予想していた市場予想を大きく上回った。

指数の内訳を見ても構成要素である4項目のうち「新規受注」、「入荷遅延」、「業況」の3項目が改善した。「雇用」については小幅に悪化しているものの大きな問題のある範囲ではなく、労働市場の改善トレンドを覆すものではないだろう(グラフ参照)。


さらに、個人消費動向や製造業の業績動向を占う上で非常に重要視される11月の新車販売台数も、年率換算1720万台と販売台数は今年2番目の多さで、さらに11月としては2001年以来13年分の高水準となった。

これらの結果から米国の個人消費は堅調に推移しており、企業の景況感も好調と見られる。企業の業績改善が進む環境は整っていることから、今後も株高傾向は継続すると見ている。

■12月株高アノマリーは今年もあるか?
昨年も当レポートで12月の日米株高アノマリーについてご紹介したが、その後日米とも株価は上昇して大納会が高値引けという展開だった。改めて12月の株高アノマリーについてご紹介しておきたい。

NYダウ平均と日経平均について11月末の株価と12月末の株価を比較して上がっていた場合を「勝ち」、下がっていた場合を「負け」とする。2004年から昨年までの過去10年間の傾向を調べてみると、表に示したようにNYダウ平均は昨年まで5連勝中で、10年間のトータルでも7勝3敗と勝ち越し。そして日経平均にいたっては12月に下落したのは過去10年で1回のみ。つまり9勝1敗と大きく勝ち越している。


さらに特徴的なのが株価は年末が近づくに連れて上昇基調を強める傾向があることである。NYダウ平均は過去10年で5回、25日以降に12月の高値を記録している。そして日経平均は25日以降に12月の高値をつけたのが7回。昨年の大納会高値引けが印象に残っている方も多いと思われるが、実はそれは珍しいことではない。

この「年末株高アノマリー」、確かな理由は定かではないが(だから「アノマリー」なのだが)、1つの理由としては米国の年末商戦に向けた期待の高まりが考えられる。米国はGDPの約7割を「個人消費」が占めるまさに消費大国だが、その米国で小売売上高が最も多いのが12月で、他の月に比べてだいたい2割から3割ほど売上高が多くなる。

年末商戦の好調が伝えられると、企業業績の改善が意識されて米国株が買われる。すると米国株高を受けて日本も株高になる。そんな理由が年末株高アノマリーの背景の1つにあるのではないか、と筆者は考えている。さらに日経平均においては受渡ベースで年が変わらないうちに損切りを行って、受渡ベースで年が変わると再び買い戻すといったような思惑が月の後半に高値をつけやすい傾向を生んでいるのかもしれない。さて、今年も年末株高アノマリーは実現するだろうか。ご注目いただきたい。

■用語解説
雇用統計(米国)
米政府による雇用環境を調査した統計。発表される統計のなかでも、失業率(働く意欲がある人口に占める失業者の割合)と非農業部門雇用者数変化(農業従事者を除いた雇用者数の増減)が市場で注目されやすい。通常は月初の金曜日に前月分が公表される。

ISM景況感指数
ISM(Institute for Supply Management 供給管理協会)が発表する景気転換の先行指標である。供給管理協会が企業の担当者にアンケート調査を実施して作成しており、主要経済指標の中ではいち早く発表されることから景気の先行指標として重要視されている。数値が50を上回れば企業の景況感が好転、50を下回れば悪化していることを示す。製造業、非製造業それぞれ別に指標が発表される。

新車販売台数
オートデータ社が毎月月初に前月分を発表する米国の新車販売台数。販売台数は個人消費動向の確認に加えて、関連部品などが多岐にわたり製造業全体に影響をあたえるため注目を集める。

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(マネックス証券)


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