学長主導型ビジョンや
独自性に注目

 従来とは次元を異にするSGUに対して、大学側も的確に反応したという。学長主導型のビジョンが登場し、10年間の長期にわたる実現性の高い独自の取り組みが打ち出されたことなどは注目に値する。

 合計104もの大学が申請を行い、タイプAは13大学、タイプBは24大学が採択された。

 採択された大学の申請内容を見ると、一層のグローバル化に向け全学的な体制を組むことが明記されている。また、実現性の高い定量的な目標が設置され、目標を達成するための具体策には独自性が見られる。

 「支援対象の教員・学生数は、全体の約2割に上ります。量的なインパクトも大きく、波及効果にも期待しています」と言う松本室長は、「残念ながら採択がかなわなかった大学でも、申請を機に学内でさまざまな議論が交わされたと聞いています。今後の大学運営に影響を与えるでしょうし、構想した取り組みには別途の助成を獲得できることもあるでしょう」とも語る。

 SGUが今後の大学改革の流れを決する大きな要素となることは間違いなさそうだ。

 「私見ですが」と断りながらも、松本室長は次のように語る。「日本企業の活動がますますグローバル化し、海外からの投資や企業進出も増加の一途をたどる中、新たな社会人がグローバル化の最前線に立つ機会が増えていくと思われます。そうした準備をするためにも、多様な経験ができる大学を選ぶことが大切だと思います。SGUの展開によって、学生のうちにグローバルな対応力を磨く場がより増えると期待しています」。