借り換えで
老後貧乏から脱出!

 ——すでに住宅ローンを組んでいる方には、どんなアドバイスがありますか。

「住宅ローンはこうして借りなさい」改訂5版では、住宅ローンの見直しについても詳しく取り上げています。今は金利が一段と下がっていて、ローン見直しのビッグチャンスが到来していると言ってもいい状況なんです。「老後貧乏」予備軍になってしまっている人は、このチャンスを活かして適切な見直しをしてほしいと思っています。

 見直し方法は、おもに「ローンの借り換え」「繰上げ返済」「金利交渉」の3つがあります。

 「借り換え」とは、今の借入先とは別の銀行でローンを借り入れ、元のローンを完済する方法です。金利差があるほど利息軽減効果は高くなります。

「繰上げ返済」は、毎回の返済のほかに、先々の分を任意で返すこと。繰上げ返済した分は元金部分に充当されるため、そこにかかるはずだった利息を支払わなくても済むのがメリットです。

「金利交渉」は、現在借りているローンの金利について、金融機関に値引き交渉すること。契約内容を変えてもらおうというのですから話はそう簡単ではなく、いわば「ウルトラC」の裏ワザと言えますが、ノウハウさえ押さえておけば成功の可能性は十分にあります。

 利息を減らしつつ、現在の家計にも老後にも負担にならないローンに見直しするには、「借り換え」と「繰上げ返済」、または「金利交渉」と「繰上げ返済」を組み合わせてプランを立てるのがお勧めです。

 借り換えと金利交渉を比較すると、「コスト(諸費用)」面では金利交渉が有利でしょう。借り換えでは数十万円の諸費用がかかるのに対し、金利交渉はこうした費用はゼロです。それにかかる手間も、金利交渉の方が少なく済みます。

 一方、「適用金利」は多くの場合、借り換えの方が低くなるもの。というのも、借り換えにはコストがかかり、金利交渉ではコストがかからないので、「どちらを選んだとしてもローン契約者の利益が同じになるよう、借り換えのコスト分は金利交渉で割引しない」というのが銀行の考えだからです。

 見直し後の「使い勝手」の面は、借り換えに軍配が上がります。新しくローンを組み直すので、返済期間を短縮したりミックスプランを活用したりできます。「わが家に合ったローン」にしやすいのは、借り換えですね。

 ——住宅ローン選びや見直しは、チェックしなければならないポイントがたくさんあるんですね。

 自分ひとりで住宅ローンを選ぶのは難しいと感じる方もいるかもしれません。そこで、「住宅ローンはこうして借りなさい」改訂5版では、住宅ローン選びや見直しをスムーズに進められるよう、自分で手を動かして書き込める「家計の年間決算シート」「銀行ローン選びのチェックシート」「繰上げ返済計画シート」などを収録しています。

 書籍購入者向けに、記入用紙をウェブサイトからダウンロードできるようにもしていますので、どんどん活用して「自分にぴったり合った住宅ローン」を見つけてください。
(取材・文 千葉はるか)