市場価値とかけ離れているときは不動産鑑定評価を採用できる

 相続税の申告をする場合は、「時価による」とされています。一般的には、「路線価」で評価をしますが、流通している価格とかけ離れている場合は、不動産鑑定士が鑑定評価したもので申告することができます。

 不動産鑑定評価には3つの手法があり、不動産の価格の三面性(費用性・市場性・収益性)に着目して不動産の価格を求めようとするもので、それぞれ違う観点から不動産の価格を求めます。

1.原価法:対象不動産をいまつくるとするならば、どのくらい費用がかかるか(費用性)➡「積算価格」
2.取引事例比較法:対象不動産と同じような不動産は現在どのくらいで取引されているか(市場性)➡「比準価格」
3.収益還元法:対象不動産が生み出す収益は現在どのくらいの元本(価格)としての価値があるか(収益性)➡「収益価格」

売買価格を時価とした評価で申告することもできる

 不動産の場合は、個々に特殊な事情やさまざまな形状があり、「路線価×面積」や補正率などで評価した金額で売買されるかというと、そうとも言い切れません。たとえば、相続税の申告までに急いで土地を売却した場合に、路線価評価や不動産鑑定評価よりも低い価格でしか売れないこともありえます。

 その場合は、土地の売買契約書を添付し、売買価格を「時価」として、相続評価に採用して申告をします。路線価と売買価格の差額が評価減となり、相続税も下がります。