あなたは海外赴任してみたいですか?それとも国内で仕事を続けたいですか?

 エンジャパンが行った「海外での勤務」についての調査(2013年)によると、「海外赴任の可能性がある会社を積極的に希望する人」は26%。意外と少ない気がします。そうは言っても多くの会社が続々と海外進出している今、誰もが海外赴任を経験する可能性があると言っていいでしょう。

 では、もし突然海外赴任の辞令を受けたら、あなたはどうしますか?本当に嫌なら会社を辞めますか?実際は「いい機会だから…」と覚悟する人が大半ではないでしょうか。ただ、海外赴任を受け入れるのであれば、いくつか押さえなければならないポイントがあります。そこで今回は、海外赴任までのリアルな流れと、押さえるべきポイントをご紹介しましょう。

突然、海外赴任した社員が
現地でライバル企業に引き抜かれたら?

 グローバル化が進んでいるといっても自分には海外赴任なんて関係ない。そう思っている人は少なくありません。しかも、自分の会社が製造業で、海外に拠点があったとしても……です。留学経験がない、英語ができないなど、自分が海外赴任者として選ばれない理由がいくつも思い浮かぶからでしょう。ただ、そんな考えはもはや捨てなければなりません。いまや誰しもが海外赴任をする可能性のある時代です。

 冒頭で紹介したエンジャパンの調査によると、「海外での勤務経験がある人(3ヵ月以上)」は33%。2010年の調査と比較しても約1割も増えています。赴任先の1位は東アジア・中国で、北米・カナダを大きく引き離す状況。さらに海外赴任を希望していなかったにもかかわらず、海外赴任を経験した人が4人に1人もいることがわかりました。

 取材した自動車部品の製造業F社では、製造拠点(インドネシア)の工場長を補佐する若手人材を探していました。理由は、そのポジションにいた人材が現地で別会社に引き抜かれてしまったからです。現地では日本企業に勤務している従業員のコミュニティが存在します。そのコミュニティの関係で面識のあったライバル企業から工場長待遇でオファーされたことが辞めた原因のようでした。

「現地で何が起きているのか、何も把握していなかったことが原因です」

 本社(東京)の人事部は無責任な報告を経営会議でしましたが、誰も人事部を責めることはしません。海外担当の役員はいるのですが、国内の営業部門の役員が暫定的に兼任している状態。海外拠点を役員が訪ねるのは年に1回程度に過ぎず、それも工場の関係者と親睦を深めるための会食をし、周囲の視察と称した観光をするだけで帰国。まさに放置状態になっていたのです。