ストレス悪玉説は100%間違いです。

 ――ストレスは誰だって嫌なものですよね。「悪玉説が100%間違い」とは?

「ストレスってどういうイメージがありますか?」と尋ねると、ほぼ100%、「ストレス=嫌、ネガティブなもの」という反応になります。

 ――それは当然ですよ!

 たとえば、ノーベル賞なんかを受賞するような人のことを考えてください。「試行錯誤」という言葉がありますが、うまくいった回数よりも失敗や思うようにいかない回数のほうが圧倒的に多いはずです。1000回やっても成功せず、暗闇の中で試行錯誤し続ける。これはきっとストレスの高まる作業のように思えますが、それなのに脇目もふらず継続しているでしょう?
 まずは、ストレスそのものが「悪」ではないと考えてみる必要があります。本書では、ネズミの実験を紹介しています。

「性格」はつくられる?
――ストレスを逆活用してイキイキ生きる

 ――ネズミの実験?

 本書では、
「性格」はつくられる?―ネズミの実験から学ぶ―
 と題して、20匹のネズミをA組、B組と分けた実験を紹介しています。ただの動物の生態を調べた実験のように思えるかもしれませんが、人間も含めた動物の心身の「健康」や「性格」に影響を与える事実を明らかにしたものです。
 A組もB組も同じ環境で育てられたネズミたちですが、それを適当に10匹ずつ2つのグループに分けました。

 ――2つのグループに?

 本書では、どういう状況で人は病むのか。どうしたらストレス環境に置かれても前向きな生活を続けていくことができるのか。ネズミの実験の話でイラスト入りで紹介していますが、これは心理学では有名な「セリグマンの犬」という一連の実験を紹介したものです。いわゆる「うつ病」のメカニズムを、一般の方向けにわかりやすく解説しました。
 ストレスを活用して逆にイキイキして生きていけるか、本書ではその秘訣を公開しています。本書をチェックしてみてください。
(第2回へつづく)

<著者プロフィール>
臨床心理士/専門行動療法士/行動コーチングアカデミー代表。兵庫県西宮市生まれ。
常識にとらわれない独自の指導プログラムにより、さまざまな子どもの問題行動を改善させる行動分析学者。数万件以上の難問題を解決してきた手腕から「子育てブラック・ジャック」と呼ばれ、日本各地のみならず世界各国から指導依頼を受ける国際的セラピスト。年間のべ1000件以上の相談活動を行い、これまでの相談実績は数万件以上。桜花学園大学大学院客員教授など研究者としてのキャリアを経て、2012年に長野県西軽井沢に5000坪の敷地を買い取り、「行動コーチングアカデミー」を設立。発達障害、自閉症、不登校などの問題解決に関わる人材育成を行い、現在、日本初の行動分析学を軸とした私立幼稚園の設立を準備していることでも注目を浴びている。「日本行動療法学会内山記念賞」(1999年)、「日本教育実践学会研究奨励賞」(2003年)、「日本行動分析学会学会賞(論文賞)」などを受賞。行動科学系の2大学会で初のダブル受賞となる。『NNNドキュメント』『スッキリ!!』(日本テレビ系)では、「今、最も注目されている教育者」として紹介。『あさイチ』(NHK総合)他にも出演。本書では、子育てにまつわる具体的な『行動の処方せん』を公開。著書にベストセラーとなった『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』(大和書房)、『メリットの法則――行動分析学・実践編』(集英社)、『拝啓、アスペルガー先生――私の支援記録より』(飛鳥新社)、『自閉症児のための明るい療育相談室――親と教師のための楽しいABA講座』(共著、学苑社)などがある。
【奥田健次オフィシャルブログ】
http://www.diamondblog.jp/kenjiokuda/