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初の「更新料無効」地裁判決が賃貸業界にもたらすインパクト

週刊ダイヤモンド編集部
2009年8月6日
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 7月23日、京都地方裁判所は京都府在住の男性会社員が、賃借していたマンションの大家を相手取り更新料と保証金の返還を求めた訴訟で、男性の訴えを全面的に認める判決を下した。

 原告男性は2008年3月に家賃2ヵ月分相当の更新料11万6000円を支払ったが5月に退去。入居時に支払った保証金35万円も、退去時に一定額を無条件で差し引く「敷引き特約」でほとんど戻らなかった。

 今回の判決では、更新料および敷引きを定めた特約を「借り主の利益を一方的に害し消費者契約法に違反し、無効」とした。敷引き特約を無効とする判決は相次いでいるが更新料の返還まで求めた判決はこれが初めてだ。

 「大家はエリアの事情に合わせて、年間の収入計画を更新料込みで設計している。これが否定されると賃貸マーケットに悪影響を及ぼしかねない」と賃貸経営者の団体である東京共同住宅協会の谷崎憲一会長は言う。一方「原告は更新後2ヵ月で退去しており、更新料および敷引き特約を家賃の補充とした被告の主張は認められない」と原告側代理人の谷山智光弁護士は主張し、双方の言い分は真っ向からぶつかり合う。

 そもそも、更新料についての明確なルールがないのが問題だ。礼金と並んで、法律上の規定がなく地域差も激しい。首都圏では家賃の1ヵ月分を2年に1回支払うのが一般的だが、京都では年1回家賃の2ヵ月分を請求するケースもある。一方大阪など、更新料自体が存在しない地域もある。

 賃貸市場は、大企業から個人まで無数の大家から成り立つ。契約書や契約形態も千差万別で業界標準が存在しない。特に今回は、中間に不動産業者を挟まず大家と賃借人が直接契約し、契約時に更新料の取り扱いについて明確な説明がなかった。

 「全国的な平均値から見ても今回は取り過ぎのケースといえ、大家側にも説明などの点で、不足があったのでは」(谷崎会長)という面も否めない。

 消費者庁の設立など、一連の消費者保護の流れが強まるなか、説明を怠ればいくら契約書に記載しても大家が負ける可能性があることが今回明確になった。

 他の地裁では更新料を認める判決が相次いでおり、8月末には大阪高等裁判所でこのうち1件についての控訴審判決が出る。これまで“ルール”がないも同然だった賃貸市場も、判例の積み重ねにより透明化が進むことは間違いない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)

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