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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

政府や景気のせいにしても、何も変わらない!
2015年こそ、自信とチャレンジ精神を取り戻そう

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第7回】 2014年12月22日
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 チャレンジ精神を持って世界をリードしていく――それは本来、日本人が持っていた気質のはず。ところが、いつの間にかチャレンジ精神は失われ、リスクを取らず縮小均衡に向かってしまったようにみえます。世界企業へと成長を遂げ、一大ブランドを築いた電機や自動車メーカーといえども例外とはいえません。

 グローバル競争の中で生き残っていくためには、世界で通用する考え方や行動が必要なのです。今回は、「日本企業が世界からそっぽを向かれる前に、今こそ経営者や社員は変わるべき」という話をしたいと思います。

政府は神様じゃない。
できることは限られている

 まず、経営者に改めてほしいのは、「業績悪化を外部環境や他人のせいにする」ということです。

 業績不振が続いているのは、現状維持のために自重し、チャンレンジや変革を求めないことに根本的な原因があるといえます。しかし、多くの経営者は「政府や景気、アベノミクスのせい」にしています。

 その根底には「最後は永田町や霞ヶ関が何とかしてくれる」という依存心があるようにも見受けられます。それは経営者としての仕事と責任を放棄しているのと同じことです。

 民主主義では国民、資本主義は株主の意見をよく聞くことが大事ですが、それをそのまま実行することがトップの務めではありません。政治家も経営者も、いろいろな意見をよく聞き、その課題に関して幅広く調査して最終的な判断を下し、改革を実行に移さなくてはなりません。そして、自分のためでなく、政治家は国民のため、経営者は株主のために行動することが世界の常識です。

 日本に限らず、民主主義の政治は多様な意見を聞き取るため、改革には時間がかかります。「アベノミクス第三の矢を早く放ってほしい」という声もありますが、政府が何かをしてくれるのを待っていたら会社は潰れてしまうでしょう。政府は“全知全能の神様”ではありません。できることは限られているのです。

危機情報をいち早く吸い上げ、
ダメージを最小限に抑える組織づくりを

 今、米国でメイド・イン・ジャパンの品質が疑われているのも、経営者が失敗の責任を真摯に受け止めていないことが要因といえるでしょう。

 大規模なハッキング攻撃を受けたソニー・ピクチャーズは、未公開の映画作品などが次々と流出する事態を招き、米国ではトップニュースになっています。その後、社内の重要機密ファイルのパスワードを、「Password」というお粗末な名前のフォルダで管理するなど、稚拙な管理体制が明らかになりました。

 ソニーは、2011年に米国でプレイステーションのネットワークにハッカーが不正侵入して、個人情報が大量に流出した事件を経験しています。それなのに、また同じ過ちを繰り返してしまったわけですね。ニュースによると、以前からずさんなパスワード管理体制を指摘する声が社員からあがっていたにもかかわらず、その体制が改善されることはなかったそうです。

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齋藤ウィリアム浩幸
[内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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