日本企業がどんどんパワーダウンした、
この25年。そのワケは?

 日経平均株価が史上最高値、3万8957.44円をつけた1989年12月29日。あれからちょうど25年が経ちます。平均株価はいまだ半値以下ですが、ようやく日本経済はデフレから抜け出そうとしています。

 80年代の日本企業は目を見張るほどパワフルで、世界中に日本製品が溢れ、米国では一時ジャパンバッシング(日本叩き)が起きるくらい勢力を広げていました。ところがバブル崩壊後、10年、20年と時が経つにつれ、日本企業はどんどんパワーダウンしているように見えます。

 なぜ、このような事態に陥ってしまったのでしょうか。

 企業の決算短信や株主総会用の想定問答集を見ていると、ヒントが見えてきます。ITバブル崩壊やリーマンショック、鳥インフルエンザなど言い訳ばかり。おまけに1つの言い訳が数年も繰り返されるのですから、あきれてしまいます。

 でも、不思議なことに、世の中では数年おきにこうしたもっともらしい理由づけになるような事件や問題が起きているんですね。

 ですが、こんな言い訳は、米国の株主には通用しません。「去年も同じことを言っているじゃないか。何の対策も打っていないのか」と突き上げを食らうのがオチでしょう。

 私の目には、この間、多くの日本企業が「チャンスをものにする」思考から、「今あるものをいかに目減りさせず、大事にするか」だけを重視する思考に変わってしまったように映ります。要するに、考え方や行動が“守り”に入ったのです。

イノベーションは
一般論としては賛成だが…

 私がイノベーションの話をすると、多くの人が共感してくれます。しかし、いざ自分の話になるとどうでしょう。会社では新規事業の提案に対して「リスクが大きすぎる」「前例がない」と尻込みしてしまう。チャレンジに対して非常に“臆病”になっているのです。