社内の「情報格差」を利用する

 しかし、それは、決して難しいことではありません。
 なぜなら、社内には「情報の壁」があるからです。

 たとえば、物理的な距離がつくりだす「情報の壁」があります。本店と支店で情報格差があるのはもちろん、フロアが違うだけで、そこでどんな仕事が行われているのかがわからないものです。

 また、部署間の「壁」も分厚いものです。開発部門と営業部門で共有されていない情報もあれば、経理部門は現場の詳しい情報をまったく知らないようなケースもあるでしょう。あるいは、役職間の「壁」もあります。経営に近い立場の人物と現場第一線に立つ人物とでは、もっている情報はまったく異なります。

 この情報格差を利用すればいいのです。
 ある部署で「ありふれた情報」が、別の部署では「価値の高い情報」である可能性が高いからです。たとえば、あなたが情報システム部門の知り合いとの雑談で、経営陣から営業日報の即時入力システム導入の検討を指示されたという情報を得たとします。この情報を営業部のキーパーソンに伝えれば、「あまり面倒なものにならないように、早めに情報システムに注文つけたほうがいい」と、彼らにとって価値のある情報になります。経理部に伝えれば、「開発費がかかりそうだな。情報端末も配布するとなれば、なおさらだ」となるでしょう。

 このように、ある部門では「ありふれた情報」でも、「壁」を超えて情報の橋渡しをすることができれば、そこに「価値」が生まれるのです。その「価値」を提供することによって、あなたはさまざまな部署のキーパーソンにとって「貴重な存在」になることができます。そして、今度はあなたに「価値の高い情報」で報いようとしてくれるはずです。その繰り返しによって、あなたは社内のキーパーソンとの信頼関係のネットワークを築くことができるでしょう。いずれ、彼らが「重要な非公式情報」をあなたに教えてくれるようになるに違いありません。