なぜ、「イネイブリング」の発想法が子育てに役立つのか?

 ――「依存症」の治療法が子育てに役立つとは!

 私もこれまでいろいろ子育て書を書いてきましたが、「イネイブリング」や「イネイブラー」の枠組みから解説したのは本書が初めてなのです。

 ――そうなんですか! 知りませんでした。

 それは、いまの世の中で、この構図を親自身がぜひとも知っておかないとヤバイという危機感からです。
 あまり耳に馴染みのない言葉なので心配に思われるかもしれませんが、耳馴染みのない専門用語であるということは重々承知していますので、非常にわかりやすくたくさんの日常的な例を取り上げて解説しています。
こういう発想法、見方があるということを知っているだけでも、知らないよりはすごい進歩。よかれと思って、まったく逆のことをやり続ける親が多すぎるんです。

 ――なんとなく、時代にすごくフィットしている気がします。

 そうですね。この2つの専門用語を子育てに援用したのは画期的だと思っています。
 特に、親御さんだけでなく、臨床現場でクライアントと向き合う医師や心理士の方にも読んでいただきたい。
 現状では、投薬して様子見で終わらせる医者が多すぎます。様子見はもうやめてほしい。まるでクライアントが事故や事件を起こすのを待っているようにすら思えます。このままでは世の中が悪くなっていくのは確実です。
学校の先生にもこの考え方は役に立ちます。
 同時に、この連載を読んでくださるような、影響力のある経営者・幹部の方が部下の指導にも使えます。
 実際、行動分析学は世界各地で「組織行動マネジメント」という分野で大きな貢献を果たしています。センスのよい方はお気づきいただけることでしょう。

絶対やってはいけない3大NG行為

 ――やってはいけないことは何ですか?

●1 体調不良やストレスの訴えに対して丁寧にケアすること。
●2 子どもが傷つかないように配慮すること。
●3 インターネット(携帯電話を含む)は「制限付きで大丈夫」と考えること。

 ――全部やっちゃっている人、多いんじゃないですか?