米国科学界で評価が割れる「脳トレ」アプリ <br />本命「ルモシティ」が日本に本格上陸12月17日のルモシティ日本上陸記者会見の様子。右からマイケル・スキャンロン最高科学責任者、クナール・サーカーCEO、田澤悠ルモシティ・ジャパン代表。日本のユーザーは現在15万人で、今後1年で6倍の90万人に増やす目標を掲げている Photo:DOL

 脳トレアプリの「ルモシティ(Lumosity)」が、12月17日に日本に本格上陸した。Webに加えて、スマホアプリはアンドロイド版がすでに提供中、iOS版もアップルの承認次第配信を開始する。有料サービスもすでに始まっている。

 ルモシティは、現在182ヵ国で6000万人のメンバーを抱える人気のゲーム。「科学的に設計されたトレーニングで脳を鍛えよう」という謳い文句で、記憶力や注意力などを含む認知能力がルモシティのゲームで向上するということになっている。

 このゲームのアプリは、各国のアプリランキングでも上位を占め、特に教育、健康カテゴリーで何度も1位を獲得している。ユーザーからの評価もおおむねいい。

 だが、結論から言うと、ルモシティを含めた脳トレアプリの効果については、脳科学の専門家の間でも意見が分かれているのが実態だ。

 効くとアピールされていても、その主張の根拠となる調査は部分的なもの、あるいは初期的な結果でしかなく、完全に効果があるとは言えない、という意見が多い。そればかりか、ルモシティは効果を謳い過ぎでないのかという批判もあるくらいだ。

「鍛えたい脳の能力」を
最初に登録するのがユニーク

 では、ルモシティとはどんなアプリなのだろう。それを少し見てみよう。

 利用するには、まず自分に合ったプログラムを決めることから始める。それを決めるのは、ルモシティの測定システムである。ここで、記憶力、注意力、処理速度、柔軟性、問題解決の各分野で、自分が“鍛えたい”ことを選んでいく。

 たとえば記憶力ならば、「位置やパターンを思い出す」「人の顔と名前を一致させる」「モノと動きの変遷を思い出す」といった選択肢があり、注意力ならば、「マルチタスクの間で注意力を分散できる」「注意散漫になるのを防ぐ」といった選択肢がある。

 処理速度なら即決力があるか、最近頭に入れた情報をすぐに引き出せるかどうか、柔軟性ならばいくつもの作業の間ですぐに切り替えができるかと聞いてくる。問題解決ならば、頭の中で計算ができるかとか、効率的な道順が計画できるかなどが選択肢に挙げられている。

 もう、この測定をやっている段階で、気になるポイントがいくつも出てくるのがわかるだろう。中高齢者ならば日々気にしていることがリストになっていて、全部選びたい衝動に駆られるはずだ。若くても、疲れた時にうまくできないことが、このトレーニングで鍛えられると思うかもしれない。