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吉田恒のデータが語る為替の法則

「円の支配者」は実は原油価格
原油安ならクロス円反落で円全面高に!

吉田 恒
【第40回】 2009年8月5日
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 株高が続いています。これまで書いてきたように、株と為替のこの数ヵ月間の関係は、「株高・米ドル安」が基本になっています。その意味では、株高が広がるにつれて、為替市場では米ドル安が広がってきました。

 問題は、そのような米ドル安に円がついて行くかということです。それを決めるのは、つまり、この局面における「円の支配者」は、原油などの資源価格ではないかと思っています。

円は米ドルよりも、
資源国通貨と連動してきた

 円と米ドルは同一方向に動きやすいという理解が一般化しているようです。

 それは、リスク回避局面において円と米ドルが避難通貨として買われ、逆にリスク選好局面では、円と米ドルが調達通貨として売られやすいといった説明が基本となります。

 そこで、円と米ドルが同一方向に動く確率が本当に高いのかどうかを検証してみます。

 通貨の総合力を示す実効相場の月間騰落状況で調べたところ、円と米ドルの月間騰落方向が一致したのは、6月までの半年間で3回にとどまりました。このように、月間騰落方向で見る限り、それほど円と米ドルの連動性は高いわけではありません。

 それよりも、円は方向こそ逆ながら資源国通貨との連動性が実は高そうです。資源国通貨の代表格として豪ドルの実効相場騰落状況を調べたところ、6ヵ月間で実に5回、円と豪ドルは逆の動きになっていました。

主要な実効相場の月間騰落率

 この調べ方で見たところでは、円を支配してきたのは、米ドルというよりも、資源国通貨ということになるのでしょう。

 円は、米ドル安だから円安になるということではなく、資源国通貨高なら円安になり、資源国通貨安なら円高になる。少なくとも2009年前半は、そのような実績を残してきたのです。

米ドルの実効レート

 ここで改めて、株と為替の関係を考えてみましょう。2008年9月の「リーマン・ショック」から広がった「100年に1度の危機」を前後して、株と為替の関係はおおむね「株安・米ドル高」、「株高・米ドル安」といった逆相関でした。

 前回のレポートでも書いたように、日経平均は3~7月に、弱気相場の中では基本的になかった5ヵ月連続の陽線引けとなったことで、強気相場への転換が確認されました(「株式相場は強気転換した可能性が高い!でも、米ドル・円「同時安」は続かない?」参照)。

 過去を見ると、強気相場は最短で8カ月、平均すると3年は続くとされていますから、株高基調は少なくとも年内いっぱい、場合によっては2012年まで続く見通しになってきました。


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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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