世界的需要減退による
原油価格急落

 原油価格は12月、WTIで50ドル台の水準まで低下した。図表1は原油価格と銅相場の推移を示したものだ。銅と原油相場は2011年までは連動した動きを示していたが、2011年以降、銅価格が中国の景気減速と連動して低下に向かうなか、原油相場は地政学的な不安などもあって、高止まりした状態が続いていた。

 本来、中国を中心として世界的需要不足、設備投資停滞のなかで資源価格全般に低下圧力がかかっても、原油価格は地政学的な要因で高止まりした状況にあった。しかし、景気減速傾向が続くなか、特に2014年前半の世界的にも期待外れの低成長のなか、これまで原油価格を高止まりさせていた「つっかえ棒」が外れ、一転して大幅調整に陥ったと考えれば自然であろう。

 今後、米国のシェールオイルを中心とした生産調整によって原油価格は低水準が続くと見られるが、当面はもう一段の下方水準にオーバーシュートする可能性もある。

「逆オイルショック」は1985年にも起きていた!<br />当時のデジャブから予想する来年のトリプルメリット<br />――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト(資料)Bloombergよりみずほ総合研究所作成

米国のシェール革命
による供給要因も

 原油相場は基本的にその需給、すなわち需要と供給の2要因によって規定される。一般的に、地政学的影響から供給要因が注目されやすいが、その潮流を定めるのはやはり需要要因であり、それを補完して供給要因が加わることが多い。