経営 X 人事

人事部門に所属する社員の
目標設定に困っています

定性要素が強い人事部門の目標設定はどのようにすればいいか。なかなか悩ましい難問かもしれません。「定性要素を定量化する」。曽山さんの解の一つが、それです。どういうことか。具体的に解説していただきます。

【質問】

 曽山さんこんにちは。私は先日人事部門の責任者に事業部門から異動になりました。今日のご相談は人事部門に所属する社員の目標設定についてです。
 人事はどうしても定性要素が強く、目標設定をどのようにしたらよいか悩んでいます。
 強い人事部をつくるにあたって曽山さんがやったことや大事にすると良いことなどを教えてもらえればと思います。(愛知県 F.O)

目標はひとつに絞るのではなく
最も重要なものをひとつ選ぶ

F.Oさん、ご質問ありがとうございます。

 人事部門のメンバーの目標設定は私も最初は手探りでいろいろと試しました。そのなかで最も機能しているのは、「毎月、全員が目標を持つ」ことです。

 人事は定性的だから目標が持ちにくいという言葉を時々聞くことがあるのですが、この点については、私は人事に異動してきた当時から違和感を持っていました。

 「どの方向に進むべきかを明示しないでいたら、社員もどこに進めばよいかわからず、結果的に組織の成果も最大化できない」と考えていたのです。

 もともと私が営業の責任者出身だということも影響しているかもしれません。営業は毎月何かしらの数字の達成を目指しており、日々逆算しながらがんばっています。そのような意識をもって成果に拘る人事を生み出したいと思っていました。

 こういう考えのもと行ったことが「全員に目標を考えてもらい、上司にまとめてもらう」というサイクルを、毎月行う習慣です。

 当時は人事本部は20名程度で、本部長である私と一緒に組織をまとめてくれた管理職が3、4名いました。手順としてはその管理職が自分の部下とともに会議もしくは面談を行い、来月の目標をまずはもってきてもらうというところから始めました。

 しかし最初は苦労の連続でした。「定性的な要素が多いのに目標など立てられない」というメンバーの声があったり、「部下と目標を立てるにしてもやることが多すぎてしぼりきれない」などの管理職の悩みを聞くようになりました。

 その中で二つのポイントが見つかりました。

・目標はひとつに絞るのではなく、最も重要なものをひとつ選ぶ
・定量化できない目標は「上司の褒めゼリフ」を目標にする

 というものです。

 「目標はひとつに絞るのではなく、最も重要なものをひとつ選ぶ」というのは本当に苦肉の策でした。人事部のメンバーは業務が多岐にわたり、一人で複数の業務を同時に行うというのが当たり前の状況となっています。その中でひとつだけ目標にして、あとはやらないということは考えられないというのです。

 この指摘を踏まえて、私がお願いしたことが「たくさん業務はあると思うけど、目標に掲げるものは最も重要なものひとつだけでよい」という考え方でした。それを「マストワン(どうしてもやらなければいけないひとつ)」という言葉に言い換えて、「いろいろやることはあるけど、その1ヵ月で絶対に達成すべき成果は何か」という考え方をもってもらうようにしたのです。

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曽山哲人

1974年神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。1998年伊勢丹に入社、紳士服配属とともに通販サイト立ち上げに参加。1999年、20名程度だったサイバーエージェントに入社。インターネット広告の営業担当として入社し、後に営業部門統括に就任。2005年に人事本部設立とともに人事本部長に就任し2008年に取締役就任。現在は「採用・育成・活性化・適材適所」など人事全般を手がける。社外にもブログやソーシャルメディア、著書による情報発信や人材マネジメントや組織活性化等、幅広いテーマで講演・教育活動も積極的に行っている。近著に「クリエイティブ人事 個人を伸ばす、チームを活かす」(金井壽宏・神戸大学大学院教授と共著。光文社新書)がある。


曽山が答える人事の疑問

会社が急拡大する中で、さまざまな人事施策をリードし、挑戦的な企業風土をつくり上げてきたサイバーエージェント取締役の曽山哲人氏が、人事部門で働く方の疑問や悩みに答える。
 

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