女性労働力の潜在性がクローズアップされ、物流業界でも女性活躍への期待が高まる一方で、女性が働く上での課題の解決や企業としての環境整備も求められている。管理部門から物流現場まで様々な舞台で活躍する物流子会社の「なでしこ」が、仕事へのポリシーややりがい、課題について語るシリーズの第3回。今回はトライネット・ロジスティクスの品川真里奈さんに聞いた。

荷主企業の業務をワンストップで担当

 三井物産グループの物流事業会社トライネット・ロジスティクス(本社・東京都中央区、橋本茂社長)では、商社系物流会社の特徴を活かした荷主企業の海外生産工場から国内エンドユーザーに至るまでの国際物流業務を一括で請け負う「海外一貫物流サービス」を強みの一つとしている。本店営業部業務推進室の品川真里奈さんは同事業の最前線で、通関から船積み、陸送の手配など一連のオペレーションを担っている。「一貫物流の強みを発揮し、きめ細かな対応でお客様の利便性を高めたい」と話す。

 品川さんは、主にアパレルやライフスタイル雑貨を扱う商社やメーカーなど5、6社の荷主企業を担当し、東南アジアなどの生産工場から海上輸送と陸送を経て日本国内の販売先倉庫に搬入されるまで、ドアtoドアの国際物流をサポートする。海外一貫物流サービスでは、荷主毎に専属の社員が就き、複合的な業務を一括で担う点が特長。荷主の要望にワンストップで応えることで、迅速な対応や業務の効率化を実現している。

 品川さんも一連の業務を一人でこなすが、仕事の幅は広く、荷主からの問い合わせ内容も多岐に渡る。「業務の中で先輩社員に教えてもらいながら仕事への知識を習得している」毎日だ。

同僚の女性社員とともに(左から2人目が品川さん)

 とくに、品川さんが担当するアパレル製品は通関時に高いノウハウが求められる。繊維製品は素材や形状、糸の種類や編み方ひとつで関税率が大きく異なるため、スムーズな通関のためには正確な知識が必要となる。アパレル製品は商品ライフサイクルが短いこともあって短納期へのニーズが強く、港への陸揚げ後、翌々日納品、翌日午後納品といった厳しい指定を受けることもある。「納期厳守が最優先の中、書類などの不備で物の流れが止まってしまわないよう慎重にチェックするとともに、進捗はその都度管理している」という。

 一方で、船便のスケジュールに遅れが出た時には荷主企業へすぐに一報を入れるなど、密な連絡も欠かさない。「状況を早く知ることが出来れば、お客さまも迅速な対処が可能になる」ためだ。「グローバルな範囲におけるきめ細かな対応ができることは、一貫物流における強みの一つでもある」と品川さん。短納期へのリクエストが多い中、時間ぎりぎりのオーダーに対応できたときなどは「ほっ」と安堵する。荷主企業から「ありがとう」と感謝されることもあり、「仕事をしていて一番うれしい瞬間」とほほ笑む。

 同社ではトラックのネットワークを自社で持たず、配送業務については協力運送会社へ依頼することになる。「協力会社さんがいなくては成り立たない仕事。気持ちよく受けていただけるよう、電話でも言葉一つひとつを丁寧にするよう心掛けている」と説明する。