創続総合研究所
失敗に学ぶ相続対策byダイヤモンドQ
【第11回】 2015年1月27日
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「ダイヤモンドQ」編集部

子供が後継者になるなら
自社より小さい会社で修業すべき

 完璧な事業承継は、「針の穴を通るより難しい」らしい。事業承継は、時間と費用を掛けても、残念なことに失敗している例が多い。親族間でもめ事が起こる、後継者に経営する能力がない、従業員・取引先からそっぽを向かれるという問題が生じ、事業の継承どころか廃業にまで追い込まれることもままある。(税理士 松木昭和)

 事ほどさように難しい事業承継であるが、手をこまねいているわけにもいかない。まずは、後継者を見つけ、育成して、経営権を移していくことが必要である。

 つまり、いつ社長にするか、いつ自社株を譲るか、そのときの税金はいくらか。また、後継者ではない子供に何を残し〝争族〟とならないようにするか、などを計画し実行していくことである。

 誰に承継させるかが最大の難問だ。後継者としての人間性や必要な業務知識、経験、人脈、リーダーシップ、そして何より大事な後継者としての自覚を兼ね備えた人が身近にいれば幸いだ。子供や娘婿などの親族に適任者がいればよいが、いない場合は親族以外の従業員などが承継するか、もしくは事業の売却ということもあり得る。

大企業に勤めていた経歴は
中小企業トップには無意味

 子供や娘婿を口説いて何とか後継者にした場合、子供などから見るとせっかく入社していた一流企業を退職して家業を継がなければならないことがある。その後で、後継者に事業主としての適性がないことが判明すると悲惨だ。大企業に勤めていた経歴など、中小零細企業の経営者にとってはほとんど意味がない。

 後継者が代表者になった途端、すぐに新規事業を起こそうとしたり、先代の社長を蔑ろにするような態度を取ったり、従業員や取引先から反発が起こることもある。

 子供を後継者にしようとするならば、大企業で修業させるよりも、むしろ同業種の自社よりも小さな会社で経理、人事、営業など何でもこなさなければならないような環境に置くべきだ。その方が後継者になったときによほど役に立つ。

 一方、事業を承継させる先代の社長も心構えを間違えてはいけない。後継者にしてやるのではない。後継者になっていただくのだ。先代の心構えについても、10訓にしてまとめてみた。

先代社長の事業承継心構え10訓
1 後継者には自社より小さな会社で後継者としての適性を磨かせる
2 早めに後継者を指名して、周りの環境を整えておく
3 事業承継計画を立て数年かけて実行する
4 経営理念をしっかり伝え「何のために経営をするのか」を理解させる
5 一定期間、先代社長と後継者が併走できる期間を設ける
6 併走期間が終了したら、隠居に徹して出社しない
7 自社株・事業資産を後継者に集中させる
8 後継者以外の相続人に納得させる
9 遺留分問題などの"争族"が起こらないようにする
10 後継者が本当に困ったときに相談者でいられるようにする

*松木昭和・税理士が作成
 

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