地方自治体による大企業のコールセンター誘致合戦が熱を帯びている。その背景には、雇用促進や地域の活性化により、財政難を打開したいという自治体関係者の思惑がある。最近では、人口数万~数十万人の中小自治体が次々にコールセンター設置の助成制度を設けて、ラブコールに余念がない。いささか過熱気味のこの誘致合戦、はたしてうまくいくのか。

 「役所のスタッフが毎月交代で上京しては企業訪問を繰り返している。分厚い説明資料を脇に抱えて訪れた企業は50社を下らない」

 役所に入って頭を下げて回ることがあるとは、よもや思わなかったのだろう。ある山陰地方の自治体関係者は苦笑を浮かべながら、こう打ち明ける。

 企業訪問の目的は「コールセンター誘致」である。電話番号案内から家電製品の技術サポート、通信販売の受付、債権回収の督促に至るまで、コールセンターはあらゆる業種で活用されている。これなくしては、もはや事業が成り立たない。

 そこで現在、地方自治体の関係者は、地元へのコールセンター誘致に躍起になっている。東京まで「営業」に出かけるだけではない。多くの中小自治体が、財政難にもかかわらず、大盤振る舞いの「コールセンター助成制度」を設けているのだ。

 たとえば、北海道滝川市は主に「市内に建設用地を取得した場合に最大5000万円を助成する」。山口県萩市は「専用回線通信料や賃貸料として年間最大5000万円を支給する」。長崎県壱岐市に至っては、「設立時に社員のアパート代を半分補助する」のだという。

 ひと足先にコールセンター誘致に乗り出した道県はもっと豪勢だ。「1企業につき新設時に投資額の10%、最大1億円を助成」(北海道)、「新規常時雇用1人につき30万円、最大1億5000万円の雇用報奨金」(宮城県)、「設備投資補助や雇用報奨金など合計最大五億円」(福岡県)など。