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職あれば食あり

次に狙う市場は「納骨堂」!?
時代の荒波を乗り切った貴重品ボックス会社の秘策

まがぬまみえ
【第61回】 2015年1月15日
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温泉などの脱衣かごにセキュリティーボックスがついた『りりあん』。「お風呂場で“離”れても“離”れても“安”心」からその名がついたという
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 山口瞳全集に収録されていた『世相講談』を読んでいて、次のような記述が目に留まった。

 〈空前の「発明ブーム」であるという。特許庁では、一日に4冊から5冊の厚いパンフレットを発行する(日刊ですよ)。特許公報が3冊から4冊、実用新案が1冊で、いずれも毎日、約100件ずつが許可になる〉

 驚いたことに、昭和32年には特許庁への出願件数が年間17万件で世界一位となり、この文章が書かれた昭和40年代前半にはそれが年間30万件にまで増加していた。

 昨今もまた、発明ブームである。経済産業省のホームページにある特許行政年次報告書によると、2013年度の特許出願件数は約33万件(意匠、商標を除く)。企業活動のグローバル化によって2012年の日本から海外への特許出願は約20万件となり、過去最高の水準に上っている。日本からの国際特許出願件数はこの10年間で2倍以上だそうである。

 そんななか、とある中小企業が集まるイベントで「りりあん」という名の不思議な特許商品を売っている会社を発見した。渡されたパンフレットを見ると、宅配ボックスや貴重品ボックスなどセキュリティにかかわる電子制御商品を企画・製造・販売している会社らしい。設立当初からそうなのかと思えば「いや、もともとはゴルフ場の芝生のタネを売っていました」と言う。

 芝生のタネを売っていた会社がいったいどういう理由で「りりあん」へと辿り着いたのか、詳しい話を伺うことにした。

従業員9人の小さな会社が掲げた
壮大すぎる経営理念

 取材を受けていただいたのは東洋フローラの代表取締役、高橋和仁さん(68歳)だ。日本全国を営業に駆け回っているため留守がちだというので、「取材はいつがよろしいでしょうか?」と打診したら、「三が日は比較的暇です」と返事があった。1日から仕事ではこの一年、先が思いやられそうだし、3日だと「こいつ、やる気がないな」と思われそうなので、間をとって1月2日、東京都中野区にあるオフィスにお邪魔することにした。

 じつは、東洋フローラに興味を持った理由はもう一つある。ホームページの会社概要を開いて読むと、そこにはこんな説明文があった。

 〈社長が一人で経営責任を取れる時代ではない。経営に関わるものはすべて同列であり、企業のリスクは経営者、社員で共有しなければならない。(中略)そもそも会社が社員の面倒を一生見なければならない理由がどこにあるのでしょうか?〉

 改めてそう問われると、「そういえば、どこにあるんだろう?」という気もしてきた。従業員数「20名」とあるのに、経営理念が「自然探求」「人間開放」「未来創造」とやたら壮大なのも気になった(取材した時点の従業員数は「アルバイトも含め9人」とのことだった)。

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