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 千葉県柏市にある広さ273万平方メートル、東京ドーム63個分の広大な敷地で「スマートシティ」をキーワードに新しい街づくりを行っている。中心となる柏の葉キャンパス駅前には三井不動産が展開する商業施設、ホテル、タワーマンション、オフィスなどが立ち並び、さながら“三井不動産村”のようだ(写真)。

【企業特集】三井不動産 <br />都心再開発で大攻勢 <br />成長期待で業界首位窺う(下)柏の葉スマートシティには商業施設、ホテル、マンション、オフィスなど三井不動産が開発した施設が立ち並ぶ

柏の葉スマートシティには商業施設、ホテル、マンション、オフィスなど三井不動産が開発した施設が立ち並ぶ

 14年7月には、中核施設としてエリア内のエネルギー管理などを行うゲートスクエアも開業した。 すでに約1000億円を投資しており、30年の完成までの投資額は合計で約3000億円という社運を懸けたプロジェクトである。

 三井不動産が掲げるスマートシティとは、電力の有効活用などによる環境配慮型都市だけでなく、「エネルギー効率、健康長寿、新産業創造など、社会が抱えるさまざまな課題を解決する街」(加藤智康・三井不動産・柏の葉街づくり推進部長)を指す。

 今後、ライフサイエンス産業の開発拠点としての整備も進め、30年までに居住人口を5倍強の2万6000人、就労人口を15倍の1万5000人に引き上げる計画だ。

 現段階ではスマートシティの成否は未知数だ。業界関係者からは「多額のコストを掛けてスマートシティ化しても高い賃料が取れるわけではなく収益性は疑問」と懐疑的な声も上がる。