株式レポート
1月15日 17時0分
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ネガティブサプライズだった小売売上高 - マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部「米経済の「今」を読む -経済指標動向-」

非農業部門雇用者数(前月差) 12月 +25.2万人 市場予想 +24.0万人 前月 +35.3万人(上方修正)
失業率 12月 5.6% 市場予想 5.7%
小売売上高(前月比) 12月 -0.9% 市場予想 -0.1% 前月 +0.7%
小売売上高(除く自動車・ガソリン) 12月 -0.3% 市場予想 +0.5% 前月 +0.6%


■米国労働市場の好調を示した雇用統計 ただ気がかりな点も
9日に発表された米国雇用統計は非農業部門雇用者数が前月から25.2万人の増加と、市場予想(24万人増)やマネックス証券予想(22―24万人増)を上回った。さらに11月分が32.1万人増→35.3万人増、10月分が24.3万人増→26.1万人増と計5万人上方修正された。非農業部門雇用者数は昨年2月から11ヵ月連続で労働市場の堅調な回復の目安とされる20万人増を上回っており、労働市場の回復に陰りがないことを示した。

また、合わせて発表された12月の失業率は5.6%と2008年6月以来6年半ぶりの低水準となり、市場予想を上回る改善を見せた(グラフ参照)。


前述のとおり12月の雇用統計は米国労働市場の回復が継続していることを示唆したが、やや気になる点が2点あった。それは平均時給と労働参加率の低下である。

■平均時給と労働参加率の低下
12月の平均時給は24.57ドルと前月の24.62ドルから0.2%低下した(グラフ参照)。平均時給が前月から低下したのは2013年7月以来約1年半ぶりで、12月の低下率は比較できる2006年3月以降で最大である。上記の通り労働市場の回復が続く中での平均時給の突然の低下は大きな違和感がある。もちろん労働市場の緩みが未だ大きく、賃金上昇に結びついていない可能性もあるが、一方で調査期間の暦上の歪みがあるとの指摘がある。平均時給の低下について現時点で大きな心配は不要だろう。


また、12月は生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)に占める労働人口(生産年齢人口の中で働く意思を持つ就業者と失業者の合計)の割合を示す「労働参加率」が62.7%と前月から0.2ポイント低下し、昨年9月と並んで金融危機後の最低タイとなった。

失業率の低下は基本的に望ましいことであるが、12月の低下は労働参加率の低下がもたらした面が大きいと考えられる。調査方法に違いがあるため一概に比較はできないが、12月の失業者数は前月から38.3万人減少した一方で、雇用者数は11.1万人しか増加していない。つまり一定数は職探しを諦めてしまったために失業者から除かれ、結果的に「失業者」÷「労働人口」(15歳以上の働く意欲のある人)で計算される失業率が低下したと考えられる。以上のように労働市場の着実な改善は続いているが、質的には今一歩と言った部分が散見される。

■ネガティブサプライズだった小売売上高
14日に発表された12月の小売売上高は前月比0.9%の減少とマイナス0.1%を予測していた市場予想を大幅に下回った。変動の大きい自動車・ガソリンを除く売上高はマイナス0.3%とこちらも市場予想を大きく下回るネガティブサプライズとなった。


小売売上高のヘッドラインが大幅に低下したことは、原油安に伴うガソリン価格の下落でガソリン関連の売上高が大幅に減少したことが大きい。ただ、それ意外にも全般的に弱めの数値となっており、ガソリン価格下落が消費者の可処分所得を増加させ、個人消費を活性化させるというシナリオが働いていないとの疑念を持たせる弱い内容だった。

期待はずれの小売売上高を受け、14日の米国株式市場は大きく下落した。元々小売売上高は変動の大きい指標で、過去分が修正されることも珍しくないため、現時点で米国の個人消費が減速したとまで見ることは早計だろう。ただ、先日のISM景況感指数の大幅悪化など、原油安が米国経済にプラスに働くという楽観シナリオが崩れないか、来月以降の指標にも注目したい。

■用語解説
雇用統計(米国)
米政府による雇用環境を調査した統計。発表される統計のなかでも、失業率(働く意欲がある人口に占める失業者の割合)と非農業部門雇用者数変化(農業従事者を除いた雇用者数の増減)が市場で注目されやすい。通常は月初の金曜日に前月分が公表される。

小売売上高
米国の小売業の売上高を合計した数値のことで、個人消費動向を確認する上で重要視されている経済指標。前月比でプラスが数ヶ月間続けば個人消費が堅調、逆に前月比でマイナスが続けば個人消費が落ち込んでいると判断される。総合的な指標だけでなく、変動が大きい自動車販売を除いた数値も重要視される。米国の国内総生産(GDP)のうち約7割は個人消費が占めており、個人消費の動向が景気の先行きを見通す上で重要な判断材料となることから注目が集まる。

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(マネックス証券)


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