今年の全国高校サッカー選手権は星稜(石川)の初優勝で幕を閉じたが、前橋育英(群馬)との決勝戦は実に見ごたえがあった。延長戦の末4-2とスコアでは差がついたが、どちらが優勝してもおかしくない緊迫した戦いが続いた。

 両校は各地区の有力校やJリーグクラブのユースによって競われるU-18プリンスリーグに参加している。星稜は昨年の北信越地区でアルビレックス新潟U-18に次いで2位、前橋育英は関東地区でFC東京U-18、大宮ユースに次いで3位。レベルの高い相手との試合を数多く積んでいるせいか、個々の技術は確か。これに「全国制覇したい」という強い思いが加わり、球際の争いが常に激しくなる。ゴール前だけでなく、ボールがあるところすべてで技と闘志の競い合いが見られ、目が離せない110分間だった。両校イレブンには拍手を送りたい。

全国高校サッカー選手権決勝の
星稜と前橋育英は野球も強豪

 ところで決勝を戦った両校には共通項がある。サッカーだけでなく野球も強いのだ。まず星稜。野球部は甲子園に春夏合わせて28回出場(春11回、夏17回)。1995年の夏では準優勝している。OBにも松井秀喜をはじめ、小松辰雄(元中日)、村松有人(元福岡ソフトバンク)、山本省吾(元オリックスなど)、高木京介(巨人)などそうそうたる名前が並ぶ。サッカー部は選手権に16年連続25回出場。こちらもOBには本田圭佑(ACミラン)、豊田陽平(鳥栖)、鈴木大輔(柏)など日本代表の大物がいる。

 一方、前橋育英。サッカー部は選手権出場18回を誇り、ベスト4が4回。OBには山口素弘(元横浜フリューゲルスなど)、松田直樹(元横浜Fマリノスなど)、細貝萌(ヘルタ・ベルリン)など日本代表経験者がいる。野球部はサッカー部ほど実績はなかったが、2013年の夏の甲子園で初出場、初優勝という快挙を成し遂げた。選手権での優勝がないサッカー部を一気に追い越してしまったわけだ。この優勝時のエース、高橋光成は昨秋のドラフトで埼玉西武から1位指名を受けて入団。活躍が期待されている。以上のように両校はサッカーでも野球でもトップクラスの実力を持っているのだ。