株式レポート
1月19日 18時0分
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マーケット自身が示す下値目途 - 広木隆「ストラテジーレポート」

マーケットは、人間の心理を映すと言うが、最近の市場の動きを見るにつけ、つくづくそう思う。前回のレポートでは以下のようなことを述べた。

・ 相場を動かす要素にはセンチメント(市場心理)とファンダメンタルズのふたつがある。
・ 最終的なトレンドを決めるのはファンダメンタルズだが、短期的な値動きはセンチメントによって振らされる。
・ 現在の相場はファンダメンタルズを無視してセンチメントだけで動いている。
・ 原油安は日本企業の業績のみならず日本経済、ひいては世界経済にとってポジティブな好材料であるにもかかわらず、株価が売られている。これはひとえに、投資家が冷静な行動をとっていないからである。
・ かかる状況で成立している株価は、ミス・プライスであり、早晩、そのミス・プライスの是正が起こるだろう。

前回、緊急レポートとして書いたのが1月6日。500円超の下げとなった日に「ここは買い場である」と述べて、翌日から3連騰となったので、やれやれと思っていたら、その後また安値に逆戻りする場面があった。市場の動揺は収まっていない。相場というものは、一度大きく動揺すると、その揺れはすぐには収まらないものだ。冒頭に述べた通り、人間の心理が相場の振幅の背景にあるとすれば、大半の人間は達観した修行僧ではないので、そう易々と心の平穏を保つことはできない。

前回、緊急レポートを出してからほぼ2週間が経った。その間、相場の動揺は続いていたし、僕が伝えたいことも同じだったので、レポートを更新しなかった。読者から、状況や見解に変わりはないか、と問い合わせをいただいたりもしたのだが、相場の状況も僕の見方も変わりはなかったので、そのままにしていた。

しかし、見た目に変化はそれほどなくても、質的なもの - ひどい日本語だ - が少し変わってきたように感じる。

マーケットは明らかに下げ渋ってきた。

先週4日の取引のうち3日は陽線、つまり始値より終値のほうが高く終わっている。海外要因で朝売られた後、戻したということだ(グラフ1)。



圧巻は木曜日。米国の小売売上高が予想外のマイナスで米国株が続落したにもかかわらず、日経平均は300円超と大幅反発した。特段材料がないのに反発する「自律反発」というものだ。市況解説でよく、「所詮、自律反発の域をでない」というような否定的なコメントを目にすることがあるが、自律反発というのは、マーケットがいいところに達したと自ら判断して外部環境にかかわらずに自然と戻すということだから、実はすごく意味のあることである。

普通に考えれば、そういう状況になるというのは陰の極だから底入れとなってもおかしくなかったが、金曜日にまた急落。しかしその原因は「スイスフラン・ショック」だから、仕方ないところだろう。

<「スイスフラン・ショック」に伴って、為替・株式ともに流動性が大きく減ったことが、ひとつの大きな特徴である。あまりにも突然で大きな動きのために、身がすくんで動けなくなったのである。事務的な面(=オペレーション)も停滞してしまったのかも知れない。そういった流動性の低下とリスク回避はほぼ同義語である。その結果、株は売られ、アメリカなどの国債金利は下がる>。

これは僕のコメントではない。マネックス内部の、グローバル市場の裏の裏まで知り尽くしたある男の見解、とだけ述べておこう。

それでも、そういう状況のなか、日経平均は一時500円を超える大幅安から下げ渋り、前日比マイナスではあるものの、金曜日の高値圏で終えた。結果的に長い下ひげを引いた格好で、典型的な底入れのサインである。
これだけ何度も下値を探りにいって、終値では12月の安値を切らず、1万6800円前後で止まるという展開が続くと、その辺りが下値目途だというのが逆にはっきりしてきたのではないか(グラフ2)。





日経平均は、昨年10月末、日銀追加緩和で大きな陽線を出した。海外で一段と円安が進み、翌週の日経平均は大幅続伸で始まった。その時に空けた「窓」を今回の下落局面では埋めていない(グラフ3)。おそらく埋めないだろう。すなわち、追加緩和以降、消費増税先送り、解散総選挙、与党の勝利と続いた一連の流れで「アベノミクス相場第2幕」に突入したと誰もが思っている。少なくとも、昨年の10月末を境に、マーケットの質的なもの - ひどい日本語だ - が変わったと思っている。この窓は埋めない。つまり、1万6500円まで下げずに、その手前で止まる。1万6800円前後が下値目途である。下値が固まったら、あとは上がるだけか?ことはそう簡単でないのが難しいところだ。 簡単でないので難しい - トートロージーである。ひどい日本語だ。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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