なぜアウトプットイメージ作成アプローチが効果的なのか

 通常の仕事のやり方、業務指示の方法だと、かなりのすれ違い、言った言わないが生じてやり直しが多くなるが、上記のステップを踏むことにより、上司・部下のすれ違いをほぼ防くことができる。3日の仕事でも2週間の仕事でも、アウトプットイメージを最初に作成してすり合わせているので、齟齬がない。

 部下に何をしてほしいのか、具体的に言えない上司が非常に多いが、30分程度でアウトプットイメージを書くことは最初のうちかなり大変で、それを準備するなかで新たな発見が多くあり、上司自身が大いに成長する。

「上司が助けると本人の成長のためにならないのでは……」というのも上司が全部取り上げてやってしまうわけではないので、余計な心配である。できる部下に対しては、フィードバックの量・頻度が自然に減っていくものだ。

 水にまず投げ込み、おぼれそうになりながら泳ぎを覚えさせるのは、非常に古いやり方だ。そのような文化を持つ組織はノウハウの蓄積が進まず、大きな成果を出せないだけでなく、何より有能な人材がすり減らされていく。流出も続く。

「アウトプットイメージ作成アプローチ」は
デザイン、プログラミング業務にも有効

 上記の説明は書類・資料作成に関してであるが、デザイン、プログラミングの場合もそれに準じていただければいい。要は、上司が業務の内容について的確な指示をせず、あうんの呼吸を期待して仕事をさせている、という状況が起きがちなところでは、どこでも有効だと思う。

 難易度の高い緊急プロジェクト的な場合でも、アウトプットイメージへの合意は必要だ。方向が見えるまでは一緒に走り見本を見せるほうが、時間のロスがなく大きな成果を出せる。過度なプレッシャーもなくなり、部門として重要な業務を失敗するリスクも減る。