経営×ソーシャル
ソーシャルメディア進化論2016
【第63回】 2015年2月3日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]

【木戸敏郎氏×武田隆氏対談1】
能と枯山水とインターネット―伝統芸能から学ぶ創造法とは

元国立劇場演出室長・京都造形大学教授の木戸敏郎氏との対談第1回。今回のテーマは、日本の伝統芸能とインターネットの融合。伝統芸能の型や考えをビジネスに活かす、意外なアイデアとは?

木戸敏郎(きど・としろう) 1930年生まれ、慶應義塾大学文学部卒業。元国立劇場演出室長、音楽プロデューサー。伝統を創造につなげるために雅楽や聲明(しょうみょう)の古典作品をいったん脱構築して形骸を捨象・伝統を抽象し、その伝統を現状の中で再構造化して創造につなげる音楽運動を内外の作曲家と連携しながら展開。また音の未知の情報量を開拓するために、正倉院の楽器や遺跡出土の古代楽器を考証し、芸術品として ではなく楽器として復元、これらによる音楽運動を展開する。さらには、正倉院の箜篌(くご)がルーヴル美術館の古代エジプトアングルハープと同属であることに注目し、ルーヴルやカイロ博物館の始原楽器の数々を復元。以上の成果を海外の学会や音楽祭などでも発表して好評を博している。著書に「古代楽器の復元」「若き古代」など、第6回中島健蔵音楽賞、98年クラウス・ワックスマン賞(アメリカエスノムジコロジーソサイエティ)受賞。

伝統芸能とインターネット

武田 今回は元国立劇場演出室長の木戸敏郎先生をお迎えしています。私は先生のご著書「若き古代」から、日本の伝統芸能をインターネットに活かすための方法の多くを学びました。「必読」と、私の師である武邑光裕先生からの薦めでした。

木戸 武邑先生とは1990年代に京都でご一緒していました。当時はまだインターネットは草創期でしたね。

武田 はい。その頃の私は、学生ベンチャーとして起業したものの、お先は真っ暗で……(笑)。会社の未来も仲間の人生も、この先どこに向かって行けばよいのか暗中模索でした。その頃、武邑先生が日大芸術学部から京都造形芸術大学に移られ、私は追いかけるように、先生が京都に創られたメディア美学研究センターに、月の半分ほど通うようになりました。

木戸 あー。北白川通りに面したところにありましたね。

武田 はい。懐かしいです。何かヒントが京都で見つかるんじゃないかと必死でした。当時は貧乏で東京から新幹線に乗るだけでも大変で……。仲間が企業のWebサイトを制作してつくったお金を握りしめて京都に向かいました。そこで「デジタル・ジャパネスク」のプロジェクトに参加しました。

(編集部注/デジタル・ジャパネスク:90年代に京都造形芸術大学の「メディア美学研究センター」が主導した、来たるべき21世紀のマルチメディア社会に向け、京都の持つ伝統文化・芸術といった資源を最新のデジタル技術を応用して蓄積し、インターネットで世界に発信していこうというプロジェクト。)

武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


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