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米国の利上げはいつなのか - マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部「米経済の「今」を読む -経済指標動向-」

■注目される利上げの時期
27日から28日にかけて1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)が行なわれ、事前の予想通り利上げの決定は行なわれなかった。ジャネット・イエレンFRB議長は再三に渡り、利上げの時期についてあらかじめ決まったスケジュールはなく、経済指標の内容次第であると強調している。つまり今後の経済動向次第でいつ利上げが行なわれるのかわからないということになるが、現時点で有力視されている利上げ時期やその根拠となるFOMCの声明発表内容の変化などについてご紹介したい。

■1月のFOMC声明の変化
1月のFOMC声明発表には米国経済の認識についていくつか大きな変化があった。まず、米国の経済活動について12月の「緩やかなペースで拡大(expanding at a moderate pace)」から、1月は「しっかりとしたペースで拡大(expanding at a solid pace)」に一段強気な認識に引き上げられた。また、労働市場の現状について、12月の「しっかりとした雇用の増加と(with solid job gains)」という表現が、1月は「力強い雇用の増加(with strong job gains)」とこちらも一段強気な認識に引き上げられた。

「雇用の最大化」と「物価の安定」という2大責務を負うFRBだが、雇用について回復が加速し安定軌道に乗ったと見ているというわけだ。ではもう1つの物価動向についてFRBはどう見ているのだろうか。

同じく1月の声明で、「物価上昇率は短期的により下がると予測されるが、委員会は労働市場のさらなる改善と、エネルギー価格の下落やその他の要因による一時的な影響が消えることで、中期的に2%に向かって上昇すると予想している(Inflation is anticipated to decline further in the near term, but the Committee expects inflation to rise gradually toward 2 percent over the medium term as the labor market improves further and the transitory effects of lower energy prices and other factors dissipate.)」と、足元の物価上昇率の停滞(グラフ参照)が一時的なもので、中期的にFRBが目標とする2%の上昇に近づいていくと予想している。


これらを総合すると、FRBは現在の米国経済について自信を深めており、利上げに向けた準備が進んでいるというメッセージを発していると考えられる。では利上げ時期はいつが有力なのだろうか。

■イエレンFRB議長の発言
1月のFOMCは終了後の記者会見がなかったため、12月のイエレンFRB議長の発言がヒントになる。議長は以下のように述べた。「現在の見通しでは、FOMCは少なくともあと2回の会合では金融政策の正常化(=利上げ)が行われそうにないと考えている。(中略)FOMCメンバーの多くが来年(2015年)半ばまでには(利上げに向けた)適切な条件が整うとの見方を示している。」

2015年のFOMCの開催スケジュールは、1月・3月・4月・6月・7月・9月・10月・12月の8回だ。昨年12月時点であと2回とは1月と3月を指すため、3月までに利上げが行なわれることは考えにくい。そして、メンバーの多くが2015年半ばまでに利上げの条件が整うと見ているということは、4月か6月に利上げの可能性が高いということになる。

冒頭から述べてきたように、FOMCは上記の議長発言が行われた12月から1月にかけて、経済状況の見通しを引き上げた。ということは、現時点では、4月または6月に利上げが行なわれる可能性が幾分高まったと考えるのが妥当だろう。ただ、昨年よりハト派よりと思われる投票権者が増えた2015年のFOMCが利上げを急ぐとも考えにくく、また物価上昇の状況を見通したいとの思惑が働けば4月時点で利上げを行う可能性はやや低く、現時点で最有力なのは6月ということになる。ただ、マーケットの見方は異なるようだ。
■2016年の利上げを見込むマーケット
FF金利先物のイールドカーブ(残存期間の異なる利回りを線で結んだもの)は、マーケットが利上げをいつ見込んでいるかのシグナルとなる。グラフに示したように、現時点でFF金利が0.5%に達する、つまりマーケットが利上げを見込んでいるのは2016年の1月である。


現時点で労働市場の回復が今後大きく鈍化すると見る根拠は少なく、おそらくマーケットが見ているのは低インフレが長期化し、物価上昇率がFRBの目標とする2%から乖離することで、利上げが後ずれするということだろう。

FOMC・マーケットのどちらの見通しが実現するかはわからないが、筆者自身は6月の利上げの可能性が高いと考えている。エネルギー価格の下落が長期化し、物価上昇率に低下圧力がかかったとしても、可処分所得の増加という形で個人消費にプラス寄与する。そうなれば米国経済はますます堅調に推移すると考えられ、IMF(国際通貨基金)が米国の2015年のGDP成長率を3.6%と3ヵ月前から0.5ポイント引き上げたのはそうしたわけだろう。FOMCは例え物価上昇率が2%に達していなくとも、力強い成長を見せる米国経済を見て、6月に利上げを決定する可能性が高いのではないだろうか。

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