※(上)から続く

「感」を裏打ちする
テクノロジーの実際

「ND」の開発コンセプトに敬意を払い、本稿(上)では、まず「感」の話を進めた。ここからは技術的な背景をご紹介する。ただし、本連載は自動車技術者や自動車ファン向けに特化していないため、技術の「勘どころ」の紹介に留める。

(1)パッケージング・軽量化

 全長×全幅×全長=3915mm×1730mm×1235m、ホイールベースが2315mm。ドライバーとクルマの一体感を強調するために、着座位置を「NC」に比べてクルマの中心線側に15mm移動。さらにヒップポイントを20mm下げた。

新型マツダ「ロードスター」<br />世界初の公道試乗会レポート(下)骨格は直線的な構成として、シンプルさと高性能さを両立させた。写真はマツダ側のプレゼンテーション用PCと資料 Photo by Kenji Momota

 エンジンの搭載位置を15mm後へ、13mm下に移動。車体前後の重量配分を50:50とした。車内からの視界について、上下に6度、左右に5度拡張。

「NC」ではボンネット、トランクリッド等に使用してきたアルミニウムをフェンダー等にも活用。高張力鋼板も効率よく配置し、車両重量は約100kgも軽量化した。

(2)デザイン

 ドライバーの着座位置はホイールベースのちょうど真ん中。

 Aピラー(窓の前方の斜め車体部分)を70mm後へ。さらにデッキポイント(幌の収納部分の後方中心点)を20mm前へ。これによりコックピットは狭くなるが、シルエットとしては「大人のクルマ」の雰囲気となる。

新型マツダ「ロードスター」<br />世界初の公道試乗会レポート(下)デザインコンセプトを具現化した模型とデザイナーがその場で描いたスケッチ。ボディの側面のデザインイメージは「溜めて、抜いて、ひねって、また抜いて」。漢字の「しんにょう」をイメージするため、「速」という文字を書いた Photo by Kenji Momota

 円形に近いキャノピー形状にすることで、実際にはドライバーは狭さを感じない。ヘッドクリアランスは9mm増大している。

 フロントオーバーハング(前輪の中心線からボディ先端までの部分)を短くし、そこにきれいに収まるLEDヘッドライトを採用。車体後方では、クオータービュー(斜め後ろ)の部分を切り落とすイメージ。リヤタイヤ周辺のボディ表面積が縮小し、軽量化に貢献。