フィリピン 2015年2月9日

運転免許証でシニア・シチズンシップを享受できるが、
円安で退職者の家計はきびしくなっている

フィリピン在住17年。元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者の ためのなんでも相談所」を運営しながら、仕事のパートナー一家と一緒に暮らす志賀さんのフィリピンレポート。フィリピンには60歳以上を対象とする高齢者割引があり、行政区によっては外国人でもその恩恵に預かることができるという。海外で暮らす際についてまわる為替とおさいふ事情を考えます。

 昨年退職ビザを取得し、フィリピン暮らしを始めた退職者のAさんと食事をする機会があった。用事を終えて時間が余ったので、ホテルのコーヒーショップでふたりで夕食までの時間調整をしたのだが、支払いの際にAさんは運転免許証を見せ、「シニア・シチズン」としての割引を受けていた。そのホテルはAさんの定宿だったので特別サービスかと思ったが、どこのレストランでも可能だという。

 事実、そのあといっしょに夕食をとったリトル東京のきくふじでもAさんは割引を受けていた。割引率は12%程度だったので、たぶんVAT(付加価値税=12%)が免除されているのだろう。ちなみに私のSRRV(退職者ビザ)カードを見せてみたが、受け付けてもらえなかった。

 フィリピンには「シニア・シチズンシップ」という制度があり、60歳以上の高齢者はレストラン、薬局、スーパー、映画館など、ほとんどの場所で5~20%程度の割引を受けることができる。だがAさんはフィリピン国籍ではないから、このシニア・シチズンシップは持っていない。それならなぜ、割引を受けることができるのだろう?

外国人でも高齢者割引は受けられる

 フィリピンでは原則として、外国人は高齢者に対する優遇措置の対象外だが、市あるいはバランガイ(町村規模の自治体)によってその判断が違い、居住地域によってはSRRVなどの永住ビザを持っていればその恩恵にあずかることができる。マカティ市の場合、PRA(フィリピン退職庁)が間に入ってその実現に動いたが、時のビナイ市長(現副大統領)により拒否された。

 PRAを通じてなんとか発行してもらえたのが、「ブルーカード」というナンバー・コーディング(曜日ごとに一定の末尾番号の車は公道を走ることができない制度)の免除だ。これだけでも仕事上、毎日出かける私は助かる。

 加えて、運転免許証さえ持っていれば、高齢者割引を受けられるというのはとても大きいが、残念なことに、私は5~6年前に財布をすられて、その際になくした運転免許証をほったらかしにしてあって無免許だ。運転はもうしないと決めていたが、この際、取り直そうかとも思う。

 さらに翌日、別の日本人と食事をとったら「シニア・シチズンシップ・カードを忘れた」と残念がっていた。その方は「シニア・シチズンシップは誰でも取れる」と豪語する。バランガイ(自治体)に申請して、担当者相手に粘れば何とかなるという。

 もっとも私の居住するバランガイ・サン・アントニオは、外国人のシチズンシップを拒否したビナイ一家(副大統領とその息子)が住んでいるので、どうなるかはわからない。ちなみにその方はビナイ副大統領と懇意にしているというので、なんとかして欲しいとお願いしたが、たかが一外国人のシニア・シチズンシップの発行に副大統領が動くわけもないだろう。

フィリピンの免許証【撮影/志賀和民】

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