未来への決断
ダイヤモンド社刊
2427円(税別)

 「知識社会では、従業員すなわち知識労働者が生産手段を所有する」(『未来への決断』)

 働く者と組織の関係が変わった。われわれはまだ、この関係を表現するための適切な言葉を持たない。

 両者の関係は、一方において知識労働者が組織のニーズを学び、他方において組織が知識労働者のニーズ、期待を学ぶという相互依存関係である。

 組織は知識労働者を必要とする。それは、知識労働者が組織を必要とするよりも、はるかに必要とする。

 ドラッカーは、卓越した知識労働者を必要な数だけ確保するために、知識労働についてマーケティングを行なわなければならないのは、組織のほうだという。

 組織と知識労働者は互いを必要とする。この新しい関係、新しい緊張関係の存在は、もはや忠誠心は報酬だけでは得られないことを意味する。

 組織は人を惹きつけ、引き止められなければならない。彼らを認め、報い、動機づけしなければならない。彼らに仕え、満足させなければならない。

 組織は知識労働者に対し、その知識を生かすための最高の機会を提供することによって、初めて彼らを獲得し、確保することができる。それは景気のよしあしには関係ない。単に時代が変わったのである。組織は、そのことに早く気づくべきだという。

 「あらゆる組織が人が宝と言う。ところがそれを行動で示している組織はほとんどない」(『未来への決断』)

週刊ダイヤモンド