インドネシア 2015年2月4日

世界一のイスラム教徒を抱えるインドネシアで
「日本人人質事件」への関心は?

日本語教師としてインドネシアと出会い、2005年からグローバル人材紹介会社JACリク ルートメントで日系企業・日本人求職者のサポートを担当するジャカルタ在住8年の長野さんのジャカルタレポート。今回は人口の75%をイスラム教徒が占めるインドネシアで、日本人人質事件がどう報道され、人々はどう考えているのか。そして、長野さんが感じる「イスラム」について紹介します。

 日本ではイスラム国・ISIS関連のニュースが毎日のように報道されていますが、「インドネシアは安全か?」「インドネシアのイスラム教徒はどうなっているの?」など、インドネシアでの就職を考えている方から最近よく質問を受けるようになりました。

 そこで今回はインドネシアのイスラムについてのご紹介をしたいと思います。加えて、インドネシアでは今回の事件がどのように報道され、インドネシア人はそれについてどう思っているのか、私が現地で感じることを書きたいと思います。あくまでも私が個人で感じること、また個人調べです。

人口の75%がイスラム教徒。でもイスラム国家ではありません

 ご存知の方も多いと思いますが、インドネシアは世界一のイスラム教徒人口を抱える国、人口の75%がイスラム教徒です。ただしインドネシア政府は宗教の自由を認めており、イスラム国家(イスラム教を国教とする国)ではなく世俗主義です。

 インドネシアは言葉も文化も違う300ほどの民族が集まった国なので、イスラム教徒といっても民族性や地域性により、またそれぞれの家庭により、その信仰の強さ・深さはかなり異なります。

 以前少しだけ女性のおしゃれヒジャブ(頭髪を覆い隠すための布)がブームになっていることも書きました(「カラフルなヒジャブ女性が急増!」参照)が、イスラム教徒であってもヒジャブをつけていない女性も多く、つけていても全身をがっぽりと覆うような黒やグレーのヒジャブをつけている人はほとんど見かけません。ときどきマンションやモールで見かけますが、インドネシア人ではないことがほとんどです(おそらくアラブ諸国の方)。

 宗教に対して不真面目であるということではなく、寛容であるといったほうがよいのかもしれません。お祈りも1日5回できればするが、仕事などでできなければあとでまとめてやるという人もいますし、断食をしたりしなかったり、酒を飲む人もいます。豚肉を好んで食べる人はあまりいませんが、豚肉料理を扱っているレストランで働いていて、自分が豚肉料理を食べなければよいと考える人もいます。

 特にジャカルタは外国人や中華系のインドネシア人(キリスト教徒・仏教徒)も多いので、さらに寛容であると思います(ジャカルタの北エリアにチャイナタウンがあります)。

 私はジャカルタで10年仕事・生活をしていますが、インドネシアはイスラム教徒が多いから大変だなと感じることは実際ほとんどありません。

 私が気をつけていること・感じることの例としては、

●イスラム教徒の同僚や友人と食事に行く際にHalal(イスラム法上で食べられるもの)のところを選んだほうがいいかなと考える。

●普段はお酒を扱っているコンビニやレストランでも断食の月だけは一時的に取り扱いがなくなるので不便。

●断食月は始業時間・終業時間を前倒しにする会社もあるので、仕事関係のお客さんと連絡する際に気をつける。

●断食の月のランチはコックさんが味見をしないので、味付けが安定しない。

 など、大して重要な問題でないことがお分かりいただけると思います。

 過去にバリ島・外資系ホテルの爆破事件などがあり、今後も絶対ないとも言えませんので、もちろん日本とは環境が違うのですが、今回のような事件があったからといって過剰にインドネシアへの渡航・就職を警戒する必要はないのかと私は思います。それよりも、とっても親日の国民なので、日本人としてインドネシアに住んで得をしたと思うことのほうが多いのではないかと感じています。

私が働いている会社の社内風景。6割が女性で、そのうち8割がイスラム教徒だが、ヒジャブをつけている人は2、3人【撮影/長野洋子】

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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