株式レポート
2月3日 18時0分
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潮目の変化 - 広木隆「ストラテジーレポート」

毎週月曜日のお昼におこなっているオンライン・セミナー「広木隆のマーケット展望Weekly」ではチャットでいただいた視聴者からの質問に答えるコーナーがある。昨日はこんな質問があった。

「モーサテ(テレビ東京のニュースモーニングサテライトの略称)、拝見しました。広木さんは株だけではなく原油のストラテジストでもあるのですか?」

昨日出演したモーサテで「原油価格は底打ち」と解説したのである。そう、原油は得意分野である。事実、「アラブの春」で中東情勢が緊迫した4年前の原油高騰時に、原油価格は概ね天井であると指摘したレポートを出した。そこから間もなく原油価格はピークアウトし、沈静化に向かったのである。商品相場の基本は需給分析にある。在庫やフォワードカーブなど需給を表す指標を分析すれば、原油相場はだいたい読める。今回も同様の分析手法が奏功したようだ。

前回のレポートでも示した北米のリグカウントが一段と減少した。先週末に発表された値は1200台前半で3年ぶりの低水準。3年前といえば、まさに米国の原油生産が加速し始めた時期である。その水準にまでリグカウントが減ったことで、シェールオイルもかなり生産調整が本格的に進展していると市場は受け止めた。WTI原油先物は先週金曜日に8%を越す大幅上昇。週明けも続伸し、1バレル45ドルを割り込んだ原油価格は一時50ドルの大台を回復した。まだ予断を許さないものの、いったんはコツンときた感じである。ドンピシャのタイミングで、公共の電波(地上波テレビ)で原油の底入れを語ることができたのは良かった。



モーサテではもうひとつ、重要な指摘をした。株の見通しのコーナーで「長期金利」を注目ポイントとして挙げたのである。

キャスター: 週明けの東京市場、どうなりそうですか?

広木: 先週末のNY市場の大幅安を受けて売り先行で始まるでしょうね。ただ、このところよく申し上げているように、最近の日本株は米国株放れというか、米国株安に連れ安することが少なくなりました。背景は企業の業績モメンタムが正反対だからでしょう。米国はドル高原油安で慎重な業績見通しを示す企業が多いのに対して、日本は足元佳境を迎えている4―12月期の決算で3社に2社が増益。通期の経常利益でも1割増益になりそうです。今日も売り一巡後は下げ渋る展開を予想しています。

キャスター: そんななか、注目ポイントは「長期金利」ということですが…。

広木: 先ほど日本株は米国放れと言いましたが、実は債券相場でも同じことが起きています。米国の10年債利回りは一本調子に下がってきて1.6%台。1年9カ月ぶりの低水準です。通常なら、円債の相場もこれに連動するのですが、さすがにここまで長期金利が下がると米国金利が下がったからと言って素直に連動しなくなっている。



先週はかなり不安定な相場つきでした。木曜日には一時0.3%まで10年債利回りが跳ねあがる場面がありました。こういう荒っぽい相場だと、財務省の入札で国債を買ってすぐに日銀に売る、いわゆる「日銀トレード」というのもできなくなって、円債市場は疑心暗鬼が生じている状態です。日銀が買ってくれるから、と言って盲目的に買い進んできた国債のマーケットですが、少し潮目が変わりつつあるようです。ちょっとしたことで金利が跳ね上がるリスクが高まっていると思います。

キャスター: 株式市場へはどのような影響がありますか?

広木: 長期金利は底をつけた、すなわち国債が天井を打ったと市場参加者が考えるようになれば債券から株式へというローテーション、ポートフォリオ・リバランスが起きるのでポジティブなことですが、短期的には米国金利の低下・円金利の上昇で円高に巻き戻るリスクがあり、注意が必要です。
まさに指摘した通りのことが起きた。本日の後場取引開始直後に、オーストラリア準備銀行が理事会で政策金利を年2.50%から0.25%引き下げ、過去最低の年2.25%にすると発表した。これを受けて豪ドルが対米ドルで5年8カ月ぶりの安値に下落するなど外国為替市場がまず不安定な動きとなった。その後、本邦の10年債入札の結果を受けて債券相場が急落した。

財務省の発表によると、10年利付国債入札結果で、最低落札価格は99円42銭と市場予想を大きく下回った。応札倍率も2.68倍と前月債(3.42倍)以下となり、低調な結果となった。入札結果を受けて、国債先物は急落。長期金利は一時、8ベーシスポイント上昇し0.37%をつけた。

教科書的には金利上昇は株の下落要因。但し、この日の株安は日銀の量的緩和の手詰まり感を嫌気してのものである。(詳しくは1月5日付ストラテジーレポート「日銀の追加緩和は両刃の剣 どう転んでも「出口」を意識させることに」をご参照)

モーサテのエンディングは、「今日の経済視点」として、キーワードをフリップで手書きしたものを示す。昨日は、「潮目の変化」と書いた。昨年後半から世界経済を揺らしてきた原油価格がようやく底打ちの兆し。と、思えば世界中が金融緩和合戦の様相を呈するなかで、日本の長期金利が下がりにくくなっている。これまで続いてきた相場環境が大きく変わろうとしている。どう対処するべきか。次回のレポートを乞うご期待。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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