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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

「ほっかほっか亭」不毛な分裂劇に勝者はいない

永沢 徹 [弁護士]
【第18回】 2008年2月22日
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 弁当チェーン「ほっかほっか亭」の分裂騒動が世間を騒がせている。地域本部フランチャイズ(FC)契約をしている(株)プレナスは、昨年12月、(株)ほっかほっか亭総本部を相手取り、商標権をめぐる損害賠償訴訟を起こした。それに対し、ほっかほっか亭総本部も反撃。プレナスに対してFC契約更新を拒否することを通知。そしてさらにプレナスは、FCを離脱し、新ブランド「ほっともっと」へ移行することを宣言。両社は全面戦争に突入している。

 この騒動の最大の特徴は、「ねじれ現象」である。「フランチャイザー(本部)」VS「フランチャイジー(加盟社)」であると同時に、「フランチャイジー(加盟社)」VS「フランチャイジー(加盟社)」でもあるのだ。それは一体どういうことか――。

分裂を生んだ「ねじれ現象」

 もともと「ほっかほっか亭」は、創業者である田渕氏が1978年、ほっかほっか亭総本部を設立。東部・関西・九州の3地域本部制を導入し、東部はダイエー、関西はハークスレイ、九州はプレナスという3つの会社がフランチャイジーとして店舗運営をする「地域フランチャイズ」の形態をとっていた。その後、ダイエーの経営再建に伴い、1999年、東部エリアの営業権をプレナスに譲渡。プレナスは全国の「ほっかほっか亭」約3500店のうち約2200店を有する最大のフランチャイジーとなった。その際、ダイエーが保有していた「ほっかほっか亭の商標権」も譲り受けたと主張している。

 それをきっかけに、総本部とプレナスの関係は悪化した。ついに2006年、創業者である田渕氏は総本部の持株である54.17%全てを、関西エリアのフランチャイジーであるハークスレイに譲渡。ハークスレイが総本部の親会社となったのである。なお、残りの株式の殆どである44.44%はプレナスが所有している。

 前述した「ねじれ現象」の発端はここにある。フランチャイジーであったハークスレイが、フランチャイザーである総本部の親会社になってしまったこと。今回の総本部とプレナスの闘いは、「総本部=ハークスレイ」VS「プレナス」なのである。つまり、「フランチャイザー」VS「フランチャイジー」であり、「フランチャイジー」VS「フランチャイジー」というライバル企業同士の闘いでもあるという、非常にややこしい「ねじれ現象」になっているのだ。

 プレナスは、首都圏を有する東部エリアを担当することで、「ほっかほっか亭」の中でも売上・業績が格段に良い。時価総額で見ても、2006年10月末時点において、プレナスは745億円。それに対し、ハークスレイは133億円。プレナスはハークスレイの5倍以上であった。しかし、騒動勃発後、2月20日現在の時価総額では、プレナスが570億円、ハークスレイが138億円となっている。この間にハークスレイの時価総額が5億円増加したのに対して、プレナスは175億円も時価総額が減少してしまったのであるが、プレナスとハークスレイを合わせた時価総額も878億円から708億円へと約2割も減少している。

◎「プレナス」と「ハークスレイ」の時価総額
◎「プレナス」と「ハークスレイ」の時価総額
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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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